生きている間、どなたでも抱える悩みが病的にいくつも発現する場合、ADHD 注意欠陥多動症障害と診断されることがあります。
ADHDと一言でいっても症状は様々なのです。
調べていくうちに、その診断を受けている方であってもより自分自身で理解を深める必要もあることがわかってきました。
その中で、多動症などにCBDを使ってみてはどうか?
といった考え方は、
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ADHDにCBD は効くのか?薬との相性はどうなのか。
また、その症状に対して対応策があるのか。
踏み込んだ意見を精神科医のブログや動画などからも探って見ました。
気持ちが不安定な時や物事がうまく運ばないような状況で、CBDをどう役立てるのがいいのかのヒントになると思います。
目次
ADHDにCBDは効くのか?臨床試験は?
結論から言えば、はっきりとCBDが効くとした文献はありません。
また、CBDだけの臨床試験はかなり数が少ないようです。
最も参考に出来そうな論文がこちら。
注意欠陥/多動性障害におけるカンナビノイド:ランダム化比較試験。
この試験は、SATIVEXを使ってADHDを抱える30人を集めたランダム化比較試験です。
プラセボと対象の実薬(くすり)を使い、対象者に1:1(15人:15人)の割合でどちらを使っているかを示さずに使った結果を見ました。
SATIVEX(CBD1:1THC)は、天然大麻由来の多発性硬化症の処方箋にもなっている(日本ではまだ使えません。)実薬のこと。
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ADHDにCANNABISやCBDが有効なのか。は、欧米の製薬会社や研究者にとって高い注目をしている分野です。
結果、症状に対して一部改善が見られています。
SATIVEXは多動性/衝動性の有意な改善と、不注意と情緒不安定の改善傾向に関連した、と結論付けられました。
しかし、残念なことに被験者がお酒を飲んでしまったこと等もあったようです。
統計的に間違いないものが結論づけられたとは言えず、より深い研究とエンドカンナビノイドシステムの更なる研究が必要。と締めくくられています。
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なぜ、ADHDに対してカンナビノイドが深く研究されるのか?
その理由は、若年齢者に対して現在使われている処方箋を問題視している向きがあるためです。
ADHDに処方される薬は覚醒剤?
ADHDに処方される薬で代表的なものは、コンサータやストラテラという薬になります。
ADHDの処方箋は症状が重い場合以外は飲まないほうが良いとされます。
この処方箋が実は一部、覚醒剤の分類になっているためです。
コンサータ(メチルフェニデート塩酸塩)
薬物成分が12h程度かけて少しずつ放出されます。
効果は非常に高く即効性あり。
副作用は吐き気、食欲低下。さらに、依存性の危険があり、専門医・登録医でないと処方は出来ません。
メチルフェニデート塩酸塩(Methylphenidate hydrochloride)によって作られており、リタリンという薬もこの成分から出来ています。
ただ、コンサータの場合には徐々に時間をかけて身体に浸透していくように工夫されているため、薬価がリタリンの37倍します。
メチルフェニデート塩酸塩は、脳内の神経細胞の間で情報を伝える神経伝達物質(ドパミン、ノルアドレナリン)を増加。
ADHD以外にも、ナルコレプシー(過眠症の一つ、日中突如として強い眠気が出現、眠り込んでしまう病気。直木賞作家の阿佐田哲也 こと 色川 武大はコレに罹患していた。)の処方箋としても使われます。
副作用をご覧頂いてもわかるように、こちらは劇薬・向精神薬(第一種)に分類される処方箋医薬品です。
日本語においては、神経系用剤 / 精神刺激剤 / 中枢神経興奮剤とされますが、英語圏ではStimulants = 覚醒剤とされます。
お子様がADHDと診断された場合に、このような薬を与えるのは非常に不安を禁じ得ないでしょう。
もちろん、非合法に流通している覚醒剤(メタンフェタミン)とは別の成分です。
尚、小さなお子様には、なるべく処方しないようにしている精神科医や心療内科医の先生方も少なくないようです。
ストラテラ(アトモキセチン /セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
こちらは覚醒剤分類ではありません。
作用として、集中力アップ、効果が出るまでに1か月程度かかることが多く24時間作用する、ともされます。
現在ジェネリック品が存在するようです。
副作用は吐き気に睡眠障害、不安、倦怠感、胃のむかつき、めまい、口渇等と、自殺念慮(じさつねんりょ、自殺したいと考えてしまうこと)とされます。
特に18-24歳の年齢では、使用して数週間の期間、自殺念慮が出ることがあり周りはケアをする必要があります。
新薬申請、やはり覚醒剤分類
100年の歴史を持つ東証一部上場の製薬会社の塩野義製薬様と、武田薬品様が新たにADHDの新薬を2019年末に販売開始しました。
こちらも、リスデキサンフェタミンというもので出来ていて、出典には記述がありませんが海外のサイトではまず、この薬は覚醒剤。との紹介があります。
作用は集中力アップで、副作用に中毒症状、離脱症状には重度の倦怠感、睡眠障害、うつ病などの精神的 / 気分の変化などが挙げられています。
ADHDとは?
そもそもADHDとはどのような症状なのでしょうか?
ADHDとは、Attention Deficit Hyperactivity Disorderの略で日本では「注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害」とされます。
現在は「DSM-5」という米国精神医学会が発行している基準に沿って、診断がなされることがわかりました。
ADHDの主な症状、「不注意」と「多動・衝動性」についての基準が以下の通りです。
- 学業・仕事中に不注意な間違いが多い。
- 課題や遊びの活動中に、注意を持続することが出来ない。
- 直接話しかけると聞いていないように見える。
- 指示に従えず、業務をやり遂げることが出来ない。
- 課題や活動を順序立てることがむずかしい。
- 精神的努力の持続を要する課題を避ける、嫌々行う。
- 紛失物が多い。
- 他の刺激によって気が散りやすい。
- 日々の活動の中で忘れっぽい。
不注意の例を挙げると用事・お使い・電話折返し・金の支払い・会合の約束等を忘れるといったことになります。
誰しにもありそうなのことですが、頻繁に起こる場合には一度診断してもらうのも良いかもしれません。
- 手足をそわそわ動かしたり、いすの上でもじもじする。
- 授業中、就業中に席を離れたりどっかに行ってしまう。じっとしていられない。
- 不適切な状況で走り回ったり高いところに登ったりする。
- 静かに遊べない、静かに出来ない。声が大きいと言われる。
- まるでエンジンで動かされているように行動。
- 喋りすぎる。
- 質問が終わる前に出し抜けに答えてしまう。
- 順番を待てない、交通渋滞などが我慢出来ない。
- 他人の邪魔をする、熟慮せずに発言・行動、おせっかいや余計な一言が多い。
大人に例えれば、どのような場面でもじっとしていられない。貧乏ゆすりなどが激しいこと等が挙げられます。
子供の場合には、授業態度などでわかりやすそうです。
誰にでも当てはまる項目であったりもするのですが、この項目に挙げられたことが病的な水準であること。
さらに社会的・学業的・職業的機能が損なれていて、5つ以上の項目が病的な水準である場合。
その水準とは、例えば喋りすぎる、の観点からだと普通に会話が出来ていないレベルの事を言うようです。
つまり、5つ以上病的な水準でなければADHDではありません。仮にその数が3つならADHDにはなりません。
大人になって診断されるまで気が付かない場合もあります。
もし、ご自身のお子様がその様に診断された場合どうすることが最善なのでしょうか?
セカンド・オピニオン
ADHDの診断をされた場合には、セカンド・オピニオン(SO)を検討するべきでしょう。
そもそも、病院に行く時にはその病院や診察してくれる先生の事をしっかりと調べる事が重要です。
現在はネットで学歴や職歴等が調べられることがあります。
論文なども調べてから診察を受けにいき、且つセカンド・オピニオン(SO)も必ず受けるべきです。
日本人の場合、SOを受ける人は非常に少ないようですが、SOは患者に与えられた権利。
SOを反発する医師は随分減っていますし、諸外国では当然のように理解されていることのようです。
成人の場合
既に治療を始めている大人の場合、検査してもらって治療をしているのに全然仕事が続かない。
例えば短期間で10社以上馘首(くび)になるなどの経験があれば、その状態で二つ目の病院を探し始めたほうが良いかもしれません。
お子様の場合
子供の場合成長の速度は基本的にバラバラです。
ADHDかもしれない、とあまり慌てないことも重要でしょう。
病的かどうかといったある程度の判断が親権者には必要です。
年齢や通常の発達にそぐわない。衝動性があったり落ち着きがないことや不注意等の問題が、生活や学業に悪影響を及ぼす。
以上のような状態が6ヶ月以上持続していること。などの基準があります。
グレーゾーン(当てはまる項目が多くなかったり病的ではないが、それに近い行動規範が見られる)と言われる場合に、ADHDと過剰診断されることも少なくありません。
過剰診断で、強い薬を処方される可能性もあります。
そのため、特に子供の場合にはSOが必要です。
複雑な運動を組み合わせる
前述の通りADHDになるのは、脳内神経伝達物質が人より少ないから、と言われます。
脳内神経伝達物質とは、セロトニン・ドーパミン・ノルアドレナリン、およびアセチルコリンを主な神経伝達物質です。
特にADHDの場合に不足していると言われるのが、ノルアドレナリンやセロトニン、ドーパミンです。
ADHDの場合は特に、ノルアドレナリンと、セロトニンが不足していることが考えられます。
その場合、運動によってその不足を補うことが出来るようです。
アメリカで人気があり、日本でも翻訳された著書:脳を鍛えるには運動しかない ジョンJ.レイティ著、with エリック・ヘイガーマンで、わかりやすく紹介されています。
アメリカのイリノイ州で0時間体育というものを実践したら、クラスの学業が上がった。といったキャッチコピーで人気のある本です。
0時間体育とはこの場合、授業の前に軽い運動をする事としています。
勿論脳の成長は成人してからも運動以外で可能ですが、この本では脳の成長・精神疾患やホルモン加齢についても言及。
ちなみにエンドカンナビノイドシステムについてもランナーズハイの項目に書かれていて、ストレスの悩みがある場合や、ご自身のQOL(クオリティー・オブ・ライフ)を上げていきたい場合には一読の価値ありです。
第六章でADHDに関することが書かれていて、20-30分/1日 を週5日から毎日の有酸素運動、ジョギング程度を推奨。
複雑な運動が更に良いとされます。
デュアルタスクになる(同時に2つ以上のことを行う)運動で、具体的にはダンスや武術が特に良いようです。
ADHDで実際にCBDを取り入れている方々
The Black Eyed Peasのwill.i.amこと、William James Adams Jr.は「ADHDを持っている。」とインタビューで答えています。
彼は自身のADHDについて、前向きに考察。
自身の音楽活動に、良い影響を与えているとしています。
今や実業家としての顔も持つwill.i.amは、普段からCBDを使っているばかりではなく、CBD事業に多額の投資をしていることを明らかにしました。
ツイッターを見ていても、多動を抑えたいためにCBDを使用している人は少なくない様です。
隣の席の人が「私ADHDだから仕事中 頭の中の音楽が止まらなく、薬を飲むとマシになる」って話してる。
私もずっと頭の中で音楽なってるけど そうなのかな。CBD摂ると若干止まる。— kazuma (@kazcra) May 10, 2022
下記のYoutubeではご自身のお子様がADHDで、チョコレートにCBDを混ぜているお父さん。
お子様だけではなく、お母さんにもCBDを使ってもらっているとのこと。
最近は、CBDやTHCではなく他のレアカンナビノイドにも注目が集まっています。
CBNやCBGの研究も加速中
2020年、医療大麻先進国のイスラエルから届いた報告です。
イスラエルではADHDは医療大麻が処方されていることをご理解ください。
Medical Cannabis(MC)が処方されている患者59人へのアンケート調査で、処方されているMCのクオリティによって結果が異なることが判明しました。
THC濃度はあまり関係がなく、CBNの高濃度である場合にはASAR(Adult ADHD Self-Report Scale / ADHDの症状チェックリスト)のスコアが低下していました。
自己スクリーニング(自己記入式の検査)ではありますが、結果的にCBN高容量の場合にスコアが低下したとの結果は予想外だったのではないかと思われます。
このテストでは一部の患者は、他の薬を辞めることが出来ていることも記されています。
CBGの場合には、アメリカの医療大麻治療において外せないボニ・ゴールスタイン博士(Bonni Goldstein)が言及。
彼女はこれまでに数千人の患者へ、医療大麻を提供しまたいくつもの論文を書いています。
その中で、CBGは(CBDやCBN・THCにはない)α-アドレナリン受容体に働きかけることでADHDにも期待が出来ると語っています。
ここでは、自身の患者さん(子供)にも利用したことがあることにも言及。
改善の報告も、より興奮してしまった報告もあることを正直に回答。
ただし安全性が高いことを確信しているので、積極的にオススメしていると締めくくっています。
まとめ
CBDがドーパミンやセロトニンを直接的に増強することがなく、THCが増強することから、THCが入っている場合の研究が進んでいることがわかりました。
しかし、精神疾患の一つでもあるADHDの患者に対してハイになることは忌避されます。
そこで、CBDが多めに入ることでハイになることを防ぎつつTHCの効能を生かせないか?といったテストは数多くあることがわかりました。
そのテストの理由は、現在のADHDの処方薬には子供に限らず大人でも依存症が高まる可能性がある等の問題があることが理由のひとつになっています。
結論として、CBDには抗不安作用や鎮静作用が確認出来ることから、症状によってはADHDのスコアが下がる可能性があります。
ご存知の通り副作用が非常に低いCBDを、ADHDの補完治療から始めるのはアリではないでしょうか。
加えてMC先進国では、CBNやCBGにも大きな期待が持たれる研究や処方がされていることがわかりました。
CBDだけではなく、CBGやCBNについてもADHDについてより深い研究がされることを望みます。