生きていく上で、食事睡眠に次ぐ最もケアされている場所、それが歯ではないでしょうか。
殆ど家でゴロゴロしている何もしない日でも、歯は磨かれると思います。
抗菌作用や抗酸化作用がまず一番目に紹介されるのがCBD。
口の中には沢山の細菌が発生しやすいため、抗菌作用を期待して虫歯予防にCBDは有効なのか?を調べてみました。
筋トレやストレッチが重要なことがわかり始めてから久しいですが、CBDのムーブメントはシャーロット・フィギーの目覚ましい改善がCNNで放映されてから数年、数え切れないプロダクトが登場しました。
シャーロット・フィギー が生んだ CBD 文化
シャーロット・フィギーをご存知でしょうか? 今日のVMC VapeMania CBD Dispensary があるのは、彼女のおかげです。 私は会ったこともない彼女の存在を、一生忘れることはありません ...
カンナビノイド受容体が体内の様々な場所にあることが判明してからはあまり時間が経過しておらず、また経済的裕福な先進国の多くが当時(20世紀終わり)、臨床試験等がしにくかった大麻については、研究が追いついていない状況。
ところが、現在では世界で爆発的なブーム。
多くのCBD業者やHEMP業者が重篤な副作用はないことがわかり、スタッフやお客様へ様々なテストをするなどして、臨床試験の結果を待たず商品化しています。
エンドカンナビノイドシステムによってCBDを始めとする多くのカンナビノイドが恒常性(ホメオタシス)に寄与することが分かってきています。
エンドカンナビノイドシステム ( Endocannabinoid System / ECS )とは?
CBDを理解した方が、CBDと上手に付き合うことが出来ます。 CBDの理解で重要なこと。 それは、CBDが体内に働く機序を司るEndoCannabinoid System / ECSエンドカンナビノイ ...
カンナビノイド受容体への直接的な働きかけが判明してから四半世紀。
ここで私を含む多くの業者が最初は、CBDがカンナビノイド受容体への働きかけについて大いに勘違いしてしまうので、そこには注意が必要です。
CBDはCB1受容体にもCB2受容体にも直接働きかけないと考えられます。
大事なのはエンドカンナビノイド系の役割であり、CBDの働きかけを脳卒中への治療候補としてあげたEugene L Scharf先生の2017年の論文に詳しく書かれています。
それによれば、CBDの分子標的(体内で発生する症状や病気の原因になるタンパク質などの特定の分子に作用すること)は何と、65以上を数えるとのこと。
その中には、カンナビノイド受容体が発見された時同様、リガンド(生体分子と複合体を形成して生物学的な目的を果たす物質のこと)が発見されていない受容体、オーファン受容体(リガンドが不明な受容体、カンナビノイド受容体の場合にはアナンダミドと2-AG等がリガンド)への働きかけも複数確認出来ています。
CBDが何に効くの?と聞かれれば、数多の症状や病気が挙げられるのにはこうした科学的根拠があります。
ただ、商品を説明する際にこれをしてしまうと、薬機法に抵触する恐れが高まるため、あまりなされません。
そこで、CBDやカンナビノイドそのものの働きについて発信しています。
さて、そのような中海外で流行している歯のケアに使われるカンナビノイド製品について、専門家による幅広い試験結果が出ました。
虫歯予防にCBD歯磨き粉は得策か。
CBD歯磨き粉について着目している業者さんが少しずつ増えています。
歯磨き粉に求めるのは、虫歯予防に色素がついてしまうのを落とす目的などが挙げられます。
今回注目するのは虫歯について。
虫歯になる原因菌は、口腔内にいる細菌です。
虫歯予防にCBD歯磨き粉が効くかどうかはCBD歯磨き粉が細菌に抗ってくれるかどうかです。
虫歯の原因が細菌や酸によるものを、う蝕と呼び、コレを防ぐためには食生活と歯磨きなどのケアが大事になってきます。
虫歯を表すスケジュールが、C1とかC2,C3と言った表現で度合いを表しますが、あれは う蝕=Cariesの頭文字から来ています。
毎日ケアしなければならない理由は、このう蝕が世界最多の疾患であるからで、また万病の元である為です。
悔しいことに、結構ケアをしていても虫歯になったり、治しても被せものの下で進行していたりといったことも経験があるかと存じます。
私が愛する芸人さんは、「なんで歯だけケアしなきゃいけねぇんだよ。」とやたらと歯へのケアと歯医者を嫌いますが、その気持もわからなくはありません。
長い期間歯医者に通って、治療が終わり、その治療した歯がまた虫歯になってます。なんて言われると
と思うこともしばしば。
日本の虫歯率は下がっているようですが、それでもケアする方法が実は多くありません。
生活習慣で言うならば、睡眠2時間前に夕食は済ますべきだとされ、夜型の場合には虫歯になりやすいとされます。
間食回数は少ないほうが良いとされていますが、基本的に守るべき睡眠時間を軸とした生活習慣と食事の時間がポイントです。
また、ケアの部分では歯磨きを必ずすること、また特に夜の歯磨きをしっかりすることに加えて歯間のケアを歯医者さんは必ず推奨されますね。
そして、21世紀に入ってからはフッ素が注目されました。
フッ素には原因菌、酸の抑制等の作用があり、再石灰化の作用まであることがわかっており、昨今急激にこちらが含まれた歯磨き粉が増えてきたのは御存知の通りです。(2017年に厚労省が医薬部外品として承認)
CBDやその他カンナビノイドが特に抗菌作用として大きく注目され始めたのは、2008年の論文
(Antibacterial Cannabinoids from Cannabis sativa: A Structure−Activity Study)にて、腸内細菌等を滅殺し、様々な致死性のある症状を引き起こすMRSA(耐性黄色ブドウ球菌)に対し、CBDをはじめCBC(カンナビクロメン),CBG,Δ9THC,CBNが全て強力な活性を示したと書かれた頃から。
カンナビノイドを形成する上で必要なオリベトール酸(カンナビノイドの前駆体分子)のオリベトール核が、ファーマコフォア(この場合MRSAに対して結合して菌の活動を抑制する場所であるオリベトール核のこと)として薬理作用を起こし高い効力があると考えられると結んでいます。
最近でも、2020年にはカナダのマクマスター大学で抗菌作用についての論文を発表
。
こちらでは、CBGをMRSAに感染したマウスに投与し、その結果MRSAがバイオフィルムを形成(後述)することを防ぐことが確認された。
加えて、皮膚感染症、髄膜炎、肺炎、敗血症、および尿路感染症に使われる抗生物質であるpolymyxin B(ポリミキシンB)とカンナビノイドが多剤耐性グラム陰性
ここではブロードスペクトラムとしての治療を明らかにする、と結んでいます。
いずれもポイントはバイオフィルム形成を防いだことです。
抗菌作用は歯や口腔内にも働きかけがあるのか?
CBDやCBGの抗菌作用があることはわかりました。それはどの程度効くのでしょうか?
MRSAやその他多剤耐性グラム陰性桿菌についても、WHOが新規抗菌薬開発の必要性を強く訴えている薬物耐性菌。
それに働きかけがあるということで、まず期待が持てることがわかります。
バイオフィルム形成とは、細菌を含む微生物が形成する生物膜のことで、口腔内に溜まる
残念なことに、歯ブラシに洗口液を使ったりデンタルフロスを付けるなど様々なオプションをつけても、歯周ポケットなどにプラークはどうしても溜まってしまいますので定期検診をする必要があると言います。
口腔内に溜まる細菌は100種類にもなると言いますが、年令を重ねることで基本的には口内の唾液量が減り細菌が増えやすい環境になります。
細菌の代表的なものにはミュータンス菌というものがあり、これが虫歯の原因菌とされています。
他にも様々な細菌があるのですが、今回はベルギーの歯科医師が被験者から直接口からプラークを取って、ペトリ皿で培養。
コレに対して5つのカンナビノイドと、オーラルB(ヘキサメタリン酸ナトリウムやフッ化ナトリウム等を使った歯磨き粉)、過酸化水素で作られたアメリカの歯磨き粉コルゲート、そしてこの試験をした医師に依頼した会社Cannabiteの自社製品のCannabite F、以上9種類でテストをしてみました。
対象人数として募集されたのは健康な成人60人。
条件として、最小数の歯を持つ事や糖尿病に罹患していないことや直近で病歴が無いことなどが研究対象になりました。
この60名を後述するグラフに表記するDPSI(Dutch Periodontal Screening Index / オランダの歯周スクリーニング指数)に基づいてグループ分けしテスト、こちらもグラフ部分にて詳述します。
オランダは歯科医療の先進国のようで、先程2017年に厚労省が医薬部外品に認めたフッ素については、1950年代から1960年代には大規模な研究をしていたそうです。
今回は試験の責任者である医師Veronica StahlがCannabite社の創業者でが金銭的利害のあるテストであることはご理解頂きたいのですが、彼女はオランダドイツに隣接するベルギーの歯科医師です。
CBDをはじめとするカンナビノイドやアナンダミド、2AGがMRSAに対して抗菌特性を示すこと、バイオフィルムの形成を防ぐ可能性について言及。
さらに枯草菌(こそうきん/バチルス菌)やマイクロコッカス菌など抗菌特性をもつ菌に対して活性を与えることから、今回の試験を行った旨が書かれております。
これまで、デンタルプラークにこのような試験がされた論文が見当たらないとし、テストしたとも書かれています。
使ったカンナビノイドの種類
本研究では、合成カンナビノイドと市販のオーラルケア製品の抗菌効果を比較した。
(In the present study, we compared the antibacterial efficacy of synthetic(化学合成の) cannabinoids and commercial oral care products.)
と書かれております。
なぜ植物性カンナビノイドを使わなかったのかは謎ですし、CBGAの合成カンナビノイドなんて既に出来る技術があることも驚きでした。
- ■CBGA
- ■CBN
- ■CBG
- ■CBD
- ■CBC
どのような結果が出たのでしょうか。
虫歯予防にはCBD歯磨き粉、市販の歯磨き粉とどちらが良いの?
今回虫歯予防にCBD歯磨き粉が効くのかどうか。
ペール皿にそれぞれのプラーク(口腔内細菌)を入れて、カンナビノイドとオーラル B(Oral B)、コールゲート(Colgate)と自社製品のカンナバイトFを比べることで検証。
60人を6のグループに分けて出した結果は、驚くべき結果でした。
圧倒的な差が出た
それぞれの状態での細菌数を比べてみました。
シンプルに申し上げれば、歯の状態は数字が低いほど良い状態です。
- DPSI0:完全な歯茎、出血は無し
- DPSI1:歯茎の炎症及び歯肉炎があり
- DPSI2:DPSI1の状態及びチョーク化(初期虫歯)した歯石があり
- DPSI-3:DPSI2の状態で歯周炎(重度の歯肉炎)を伴う状況
- DPSI+3歯茎が下がり歯根の露出状態
- DPDI4:骨まで達して、歯がグラつくほどの状態
*細菌コロニーとは細菌の集まりのこと。小さい細菌は集合体になることでその数を測ることが出来る。
ご覧頂いた通り、何と圧倒的な差を見せつけて、全てのカンナビノイドが市販で使われている素材より細菌数を減らしました。
ただ、それぞれのカンナビノイドに目立った特徴はなく、加えてそれぞれカンナビノイドのみを使っているだけなので、他の成分との相性他、更なる研究が欲しいところです。
まとめ
CBD歯磨き粉は虫歯予防になるのか?この結果だけを受ければ、不明な点が多いと言えるでしょう。
お試しになる分にはありだと思います。
カンナビノイドは脂溶性で、またアルコールにも溶けます。
カンナビノイドが口腔内に入ることで副作用をもたらすことはないので、エタノールを含むデンタルウォッシュなどへ、CBDやその他カンナビノイドの食用アイソレートなどを入れてみる価値はありそうです。
ただし、コチラの論文自体がカンナバイトF社の創業者が特許目的で行っており、また歯磨き粉などの比較材料が乏しい事も併せて書いておく必要があります。