CBDと同じように大麻草から抽出される量の多いカンナビノイド、THC。
嗜好品としても世界で2億人が使用するCannabisの主要成分であり、医療でも使われていることが多いものの日本では2022年9月現在法律で所持することが禁止されています。
一方、合法化している国が続々と出てきています。
カナダをはじめとして、G8に名を連ねる様な先進国でも同様です。
さらにTHCは医療として広範に使われる*薬物でもあります。
以前医療大麻の解禁はいつなのか?という特集を書きました。
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これから医療大麻が日本でも使えるようになります。
2022年9月29日ついに「医療大麻解禁」と厚労省が示しました。
医療大麻解禁を厚労省が発表 。日本の医療大麻とは?
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反対に、世界各国でTHCを含むCannabisを麻薬として厳しく取り締まっている国は少なくありません。
日本では大麻使用罪という、新たな制度の盛り込みもあります。
毛髪検査等により体内のTHCを調べ、使用者に刑事罰を問うもの。
先日国際機関である、WADA(世界アンチドーピング機構)もTHCを禁止薬物リストに残す決定をしました。
すぐそこの未来が変わろうとしてる今、THCを無視することは出来ません。
世界中で医療だけでなく、自由に使える国や地域が広がっているCannabis。
他方で麻薬扱いをして厳罰を続ける国や地域もたくさんあります。
THCは危険なのでしょうか?一生懸命取り除かなければならないほど、デメリットばかりなのでしょうか?
改めて、THCとは何なのか?最新の情報を駆使して、掘り下げていきましょう。
この記事では、薬理作用を有する特定物質のことを指しています。
目次
THCの薬効とは?どんな治療に使われているのか
今回紹介するTHCとは、TetraHydroCannabinol(テトラヒドロカンナビノール)の略でティーエイチシーと呼ばれています。
医療効果はあるけれど、向精神作用(以後陶酔作用)もあることは今や多くの人が知ることです。
ANALOG(類縁体)と言われるカンナビノイドも含めて、以下のものがあります。
- Δ9-THC
- THCa
- Delta9 THC
- Delta8 THC
- THCP
- THCH
- THCV
今回はDelta9 THC(デルタナイン ティーエイチシー)(以下、THC)のことについての記事になります。
THCはCBDと同じ、HEMPやCannabisから摂れる150種程度確認されているカンナビノイドの一つ。
THCとは、幅広い薬効があり、世界中で嗜好品としても広く愛されているカンナビノイドのことです。
品種により異なりますが、CBDと同様カンナビノイドの中では最も多く抽出されます。
生の状態では陶酔作用が下がる、THCaというカンナビノイドの状態がほとんど。
これは、加熱することで炭酸ガスなどを発生させる化学反応が起きて脱炭酸化されTHCに変換されます。
ここでは詳細を省きますが、THCaとTHCの薬効は異なります。
THCは怖いものなのか?と問われれば、化学的にも薬学的にも用量を間違えなければ怖くないと言えます。
ただし、世界中でメディカルにも使われて薬効には個人差があることから高用量のTHCを必要とする人もいます。
THCが高容量になると後述する副作用の一つである「不安感」を感じる可能性が高くなり、怖い思いをすることもあるので周りのサポートが必要です。
反対に、少量でも効果が確認されている薬効もあります。
他にも、フルスペクトラムの状態でCBDとTHCが含まれての臨床試験で薬効が確認されていることも。
また様々な摂取方法、合成THCまで存在します。
世界中あらゆるところで研究されて、ときに処方されたり民間療法で使われる。
何億人もの人が、毎日嗜好品として吸引されている。
そんなTHCはどういうものなのか?
まずは、なるべく詳細に科学的な見地から薬理作用や薬効を確認ていきましょう。
THCの薬理作用
数多の薬理作用がわかっていますが、代表的なものを挙げていきます。
- カンナビノイド受容体CB1およびCB2の部分アゴニスト(受容体分子に働き、神経伝達物質などと同様の機能を示す薬)活性
アゴニストとは、受容体に結合、生体内物質および細胞内情報伝達系を作動させる薬物のことです。 - カンナビノイド受容体GPR18およびGPR55における部分アゴニスト活性
GPR18は、N-アラキドノイルグリシン(NAGly)という内因性カンナビノイドの受容体です。
NAGlyは抗炎症作用や、白血球の一種であるマクロファージのアポトーシス(細胞死)を誘導することがわかっています。
GPR55は、リン脂質(体内で脂肪が貯蔵される際や運搬される際にタンパク質と結びつける役割を果たす、水と油の両方をなじませる性質(両親媒性)を持つ細胞膜を形成する主な成分)の一種であるリゾホスファチジルイノシトール(LPI)の受容体です。 - セロトニン作動性5HT3受容体、およびμ(ミュー)オピオイド受容体とδ(デルタ)オピオイド受容体に対する陰性のアロステリック調節因子
アロステリック調節因子は、受容体に作用する物質の親和性や有効性を変化すること。その中で陰性(negative)タイプの場合、作動物質の親和性や有効性が低下させます。 - アデノシン受容体の阻害
アデノシンは塩基と糖が結合した化合物の一種であるリボヌクレオシドで、脳や肝臓の血管拡張と心筋保護作用を司っています。
アデノシン受容体の阻害をすることで、THCを摂取すると心拍数があがることが考えられます。 - グリシン受容体に対する陽性のアロステリック調節因子
グリシンは体内で作られるアミノ酸で、コラーゲンを構成することでも知られています。そして何より、現在は睡眠サプリとして有名。
グリシンは抑制性の神経伝達物質として、神経活動のブレーキとしての役割がある。
日本の研究者発信で多数のエビデンスが出てきており、安全(体内で作られるアミノ酸という理由などのため)なグリシンはどこの薬局に並んでます。
陽性(positive)タイプの場合、作動物質の親和性や有効性を上げます。THCの入ったカンナビスでよく眠れる人は、グリシンの特徴が抑制性の神経伝達物質であることが理由かもしれません。 - TRPV2、TRPV3、TRPV4、TRPA1 イオンチャネルでのアゴニスト活性
TRP(トリップ)チャネルは、温度感覚や痛み刺激について活性化されて電気信号を脳に到達させます。
例えば、TRPA1受容体はワサビの受容体と言われていて多くの感覚神経に発言。(ワサビの辛味など)侵害刺激を感じて、辛いと感じることが出来ます。
神経因性疼痛、炎症、呼吸器疾患などはTRPチャネルの機能不全が原因とされる疾患です。
カンナビノイドが複数のイオンチャネルでのアゴニスト活性を起こすために、「イオンチャネル型カンナビノイド受容体」とも呼ばれます。 - TRPM8一過性イオンチャネルでのアンタゴニスト作用
TRPM8は、メントール受容体として知られいます。皮膚などからの冷刺激情報を感知し中枢へ伝達する役割を持つ受容体です。
アンタゴニストは、アゴニストと拮抗的に作用して減弱させる物質。ただしTHCの場合、ノースカロライナ大学の論文によればTRPM8を適度に調節するとしています。 - PPARγ核受容体を介する血管弛緩
PPARγ(ペルオキシソーム増殖剤活性化レセプターガンマ / peroxisome proliferator-activating receptor gamma)は、転写(DNAの遺伝子をRNAが合成させること)因子としても機能するタンパク質。
THCはPPARγ受容体の活性化をすることにより、血管弛緩と脂肪細胞の分化を刺激することがわかっています。 - 報酬系への強い影響による線条体にあるグルタミン酸の急増と、そこからドーパミンの急性増加。
ハイになる要因です。
線条体は依存や快楽に関わる大脳基底核の主な構成要素。
さらに長期間利用し続けると、ドーパミンの機能が低下することがわかっています。
数多の薬理作用があることをお分かりいただけたかと存じますが、これはTHCの薬理作用としてわかっている範囲の一部です。
THCは脳内や中枢神経に多く存在するCB1受容体に対して、部分アゴニスト活性があります。
脳内での神経伝達物質様としての働きは、他の脳内に影響を与える神経伝達物質にも大きな影響を与えると考えてください。
さらに、CB2受容体にも部分アゴニスト活性がみられます。
CB2受容体は、脳内や中枢神経にも少しだけみられますが免疫系の末梢組織 / 消化器系 / 末梢神経系などに多く分布しています。
TRPチャネルは末梢神経系に多いことで、ここにも大きな影響を与えているのでは?と考えられます。
薬理作用や薬効は一般的に聞かれる言葉は少なく、イメージがしづらいですね。
実際に、どのように医療分野で使われているのかで理解が深まります。
医療分野で使われるTHC
THCの薬理作用が、ざっとあげただけでも9つに登りました。
と疑問に思われることでしょう。
また、薬理作用が不明でも臨床で証明されていること。
あるいは、薬効のメカニズムが不明なまま実際にケアや治療に使われていることも沢山あります。
たとえば、THCが持つ他の薬物ではほとんど見られない激レアな効能と言えば「食欲増進」です。
カリフォルニアでHIVが流行した1980年前後、治療による食欲不振を助けたのはTHCを含有するCannabisの吸引でした。
以降も緩和ケアに、食欲増進のためにTHCを含んだCannabisを摂取する方々は世界中に大勢います。
日本で使う場合、体を大きくしなければならない力士やプロレスラーが使うのにはめちゃくちゃ良いのでは?なんて考えてしまいます。
エンドカンナビノイドによる食欲増進メカニズムが判明したのは、2001年頃が最初です。
エンドカンナビノイド(アナンダミドや2-AG)が、食欲の増進や減退を司るホルモンのレプチンによって調節される神経回路の一部を形成する可能性が指摘されます。
その後、THCによる食欲増進が飢餓状態にすることによるものではないか?と考えられる説もあるようです。
飢餓状態は、筋タンパクが分解されて糖質になったり脂肪分などもエネルギーに変えてしまいます。
食欲増進は諸手を挙げて歓迎されるべきではないのかも知れず、これからも研究が必要です。
- 痛みをとる
- 筋肉の痙性(けいせい / 脳・脊髄障害による手足の突っ張り・関節が曲げられないなどの症状のこと)
- 緑内障(眼圧低下効果)
- 小児悪性腫瘍の縮小
- 不眠症など睡眠障害
- (治療による)吐き気
- 不安
- 多発性硬化症の痛みなど
- 線維筋痛症
- 各種神経痛
- パーキンソン病の振戦(意思に反した震え)
などがあります。
映画「CBD NATION」でも登場するアメリカデラウェア州に住むRylie(ライリー)さんは、8歳にして頭蓋骨が陥没し歯が抜け落ちる悪性腫瘍の症状から大麻抽出由来のTHCを含むCBDオイルで全快。
当時、法律が追いついていないことで自ら受けるスティグマに納得できず州議会に乗り込みます。
今も全世界の悩める子供に届けられる様にと、医療大麻の必要性を説いて回る日々。
そしてついに2015年。
子供に向けたCBD(THCを微量に含むフルスペクトラム)中心の医療大麻が使える法律、通称ライリー法と呼ばれる法案が可決されました。
さらに今では、自らフルスペクトラムオイルを栽培からプロデュースしています。
日本でもいずれ使えるようになると期待されている、ナビキシモルス(商品名:SATIVEX)は天然大麻抽出由来のTHCを含むカンナビノイド製剤です。
SATIVEXは多発性硬化症の症状を緩和する薬で、2005年にカナダで承認されて以降世界30カ国で使える処方箋。
厚生労働省による医療大麻解禁の発表でどうなる?日本の現状
2022年9月29日。 厚生労働省から日本で医療大麻が解禁になることが発表されました。 今後、医療大麻の解禁がどういう変化を起こすのか?医療大麻はどういう使い方が出来るのか、非常に気になりますよね? ...
THCとCBDの相性については様々検証が必要です。
2021年マウスのテストでは、認知能力の改善を止めてしまう結果が出ています。
世界最高の映画という人が少なくない「Back to the Future」の主人公を務めた、マイケル・J・フォックスはパーキンソン病に罹患。
マイケル・J・フォックスは、Medical Cannabisを正しくパーキンソン病に使えるようにするため。
また、(憲法上アメリカでは違法である)Cannabisを使っていることによるスティグマやパーキンソン病への差別が無くなる様にと、Michael J.Fox財団を作っていることでもよく知られています。
Cannabisを、規制物質法のスケジュール1(薬理作用のない麻薬)に設定してしまっているアメリカ。
そこで、憲法上でもTHCが認められるよう21世紀に合成THCの処方を始めました。
合成THC、2種類の処方箋
THCの類自体としてドイツの製薬会社が作成した合成カンナビノイド ドロナビノール(マリノールとして販売されている)があります。
アメリカでも2002年にDEA(Drug Enforcement Administration / 麻薬取締局)から承認され、スケジュール3(処方薬として利用可能であり、非麻薬性で精神的また身体的依存の危険性が低いとされる)に分類されました。
やはりHIV治療の食欲不振や、化学療法による吐き気の治療などに使えるようになっています。
もう一つは、ナビロン(セサメットとして販売されている)があります。こちらも同様2006年にDEAから承認、スケジュール2(処方においてのみ利用が可能で、薬物ないしその他の物質には濫用の危険性がある)に分類されました。
ナビロンは、制吐薬と神経因性疼痛のための補助の鎮痛剤です。
しかし、「大麻抽出由来のカンナビノイド医薬品」と違ってアントラージュ効果 は得られません。
20年も前に処方が認められていますが、実際に現場で使われることは少ないとの情報もあります。
おそらくは個人差の大きいTHCの作用において、
THCには忘れてはならない、もう一つの顔。嗜好品としてのTHC利用にもフォーカスしましょう。
THCが嗜好品として使われる理由
THCの嗜好利用は一言で言えば、吸ってハイになる。
それだけ、ではありません。
今の時代はTHCを含む嗜好利用出来るものには、吸引するハーブ状のものだけではありません。
ワックスやレジンと呼ばれるもの、エディブルでのチョコレートやグミに飲料やオイルなど。
CBD製品でも見られる、さまざまなプロダクトが存在します。
THCを含んだCannabisを利用した人々からは、色とりどりのカルチャーが誕生しました。
THCの嗜好利用は創造的思考を解放し、新しいレベルの意識に引き上げたのです。
アメリカで大麻が禁止になった1930年代に、大麻で逮捕された初めての有名人とされるのがルイ・アームストロング(Lois Armstrong)。
JAZZの歴史には欠かせない、大天才サッチモ(ルイ・アームストロングの愛称)はウィスキーと大麻をこよなく愛しました。
楽曲MUGGLESは、Cannabisのスラング。
Song Of The VipersのVipersは直訳すると毒蛇のことですが、こちらもCannabisの隠語だったりCannabisを嗜む人のことを指す言葉でした。
禁止されるずっと前からCannabisを嗜んでおり、差別意識も根強かった時代をずっと生き抜いてきました。
ルイ・アームストロングは一生売れっ子で、戦前にセンセーショナルなジャズをドロップしまくっただけではありません。
1960年代には爆裂大ヒットを記録していたThe Beatlesが全米ヒットチャートを席巻している時に、ハロー・ドリー(Hello Dolly!)が空前のヒット。チャートのトップに躍り出ました。
ルイ・アームストロングの放った「a thousand times better than whiskey. / (Cannabisは)ウィスキーの1,000倍良い。」は、今なお色褪せない名言です。
ウィスキーとCannabisをいずれも愛していたのですが、Cannabisの方が好きだったことがわかります。
Hello Dolly!がヒットした頃、全米でCannabisが流行します。
ベトナム戦争への疑問をもった若者を中心に、カウンターカルチャーの広まりとCannabis流行はセットでした。
自由の国アメリカでも、為政者が国民の生活を左右していたことが顕になっていきます。
カウンターカルチャーは差別に反対する文化やジェンダーレスの文化なども包括して、今のSDGsにもつながるのです。
音楽文化は当時旅客機の発展で、アジアに渡るミュージシャンが続出。
インドやタイで衝撃を受け、音楽や文化に反映させていきます。
同時にインディカ品種の種もバンバンアメリカに渡ったとか渡らなかったとか。
ここからは急加速、Bob Marleyが世界を席巻した70年代。
Bobはハーブを吸うべきだ。としきりに語っています。
80年代にはオランダアムステルダムで、HIGH TIMES主催のCannabis Cupが初の開催。SkunkやNorthern Lightsなどの銘品が生まれ、Seed BankのSensi Seedsなどが誕生します。
日本ではタイマーズが人気に。
1990年代には、現代でもCannabisアイコンとして絶大な人気を誇るレジェンドSnoop DoggやDr.Dreを中心としたG-Funkの人気が爆発。
Dr.DreのアルバムThe Chronicは、「最高級のCannabis」や「Cannabis中毒」のスラングでアルバムジャケットはZigZagのデザインを模しています。
ヒップホップの歴史を変えたといわしめる、西海岸最高の音楽でした。
21世紀に入り、ポップアイコンとなったディーバLady Gaga(以下、レディー・ガガ)。彼女はCannabisが自分の音楽に影響を与えたと公言しています。
レディー・ガガはまた、自身のケアにもMedicalとしてCannabisを使ったことも発信しています。
アルコール依存などから救われたことや、線維筋痛症の痛みとメンタルケアにCannabisを使ってきたことも明言。
戦前戦後と、数多のカルチャーを生み出したTHCを含むCannabis。
また、レディー・ガガのように嗜好品利用しつつ体調を整えていた人がいたこともお分かりいただけたかと思います。
著名人もたくさん利用していて、多くの方が愛を表明しているTHCを含むCannabis。
ときに「捕まることが最大のリスク」等と言われることもありますが、THCには副作用の問題等はないのでしょうか?
THCの副作用とは?
マリファナ課税法や、規制物質法が出るたびに為政者はCannabisの副作用を化学者に研究させました。
皮肉なことに、それらは結果的に多くの薬効を発見。
ただし、脳内で非常に複雑な働きをするカンナビノイドであるTHCはいくつかの副作用があります。
不安やパラノイア。赤目や空腹感、無気力。一時的な記憶障害などがあります。
副作用の多くはCannabisの使用をやめることにより解決されるのですが、いくつかは長い問題になることも。
若年層の利用は気をつけるべき
Cannabisの早期使用が、10代の若者に悪い影響を与える可能性があることがわかりました。
14歳頃から喫煙を開始する喫煙者は、一部の認知テストで非喫煙者よりも成績が悪くなります。
カナダの大学約300人の学生を対象とした調査では、大麻喫煙者は学校中退率も高いことが判明。
17歳頃までCannabisを使わずにいた人は、そういったことがありませんでした。
これらは、白質に悪影響を与えてしまうとされます。
中枢神経組織の中で、神経細胞(ニューロン)の細胞体に乏しく主に神経線維が集積し走行している領域のこと。
大脳や小脳では深層を占め、脊髄では表層を占めます。
学習や脳機能に影響を与え活動電位の分布を調節し、リレーとして機能。
また、異なる脳の領域間の伝達を調整する重要な役割を果たします。
成人に悪影響はないのでしょうか?
THCによるCHSとは?
CHS(Cannabinoid Hyperemesis Syndrome / カンナビノイド悪阻症候群)は2億人のCannabisユーザーのうち、1,000万人が罹患しているとされる症状です。
症状が出るのは、毎日吸引するタイプの人。
通常、医療大麻のメリットとしても伝えていた制吐作用のあるCannabis及びTHC。
CHSの場合には、その逆のことが起こり朝から吐き気が起きるといった症状が出現。
CHSには、大きく分けて3つのフェーズがあります。
prodromal phase(前駆期 / 症状の前触れ、軽い症状が出現する時期)。
食欲は普段通りなのですが、朝から吐き気を催したり吐き気の恐怖を持つ場合もあります。
この逆の作用を知らない人が多く、食欲があるためにCannabisをどんどん吸ってしまう人が多いのです。
長いと数年、この症状が続きます。
2つ目はHyperemetic phase(激しい吐き気を催す時期 / 充血期と翻訳されることもありますが、間違い)。
簡単には吐き気が治らなくなり、腹痛を催すこともあります。さらには脱水症状と食が細くなることがあります。
CHSを知らない医師も利用者も多く、Prodromal phaseで使い続けてしまうとHyperemetic phaseへと進んでしまいます。
こうなると、Cannabisを完全にやめるしかありません。
3つ目はその後のRecovery phase(回復期 / 数ヶ月でじっくり回復)。
Cannabisが当たり前のようにある環境では、この時期が結構大変。なぜなら寛解状況であっても、再度吸ってしまうとまた再発してしまうことがあるためです。
メカニズムとして、CB1受容体はTHCが急激に体内に入ることで急増。
その後、日々摂取することで体内が慣れようとしてCB1受容体が減ってしまいます。
CB1受容体が減ることによって、THCのハイになる状態は耐性がつくのです。
46時中Cannabisを摂取する人は少数派ですから、(摂取をしていない)社会生活をしているときには内因性カンナビノイドでCB1受容体のリガンド(受容体に結合する物質)であるアナンダミドの量が下がってしまいます。
エンドカンナビノイド系に異常が出ることで、体調不良になるようです。
CHSであげられる副作用の中には、Cannabisの一時的な利用での副作用として認められるものもあります。
不安感やパラノイアといったのはその症状の一つです。
幾つかの国や地域で提唱される、大麻精神病や他の薬物へのゲートウェイドラッグになるなどのエビデンスは終ぞ見当たりませんでした。
また、THCには他の薬物のように致死量は事実上ありません。
これらをまとめてどのようなことに気をつけるべきでしょうか?
THC利用において気をつけるべきこと
日本から4時間で行けてしまうタイで医療大麻や嗜好用大麻が解禁になり、あちこちにディスペンサリーショップが出来ているそうです。
これから、海外にいってCannabisを試してみたいという方の相談は多くいただきます。
CHSやバッド(不安感だらけになること)を避けるためには、いきなり高THCの香り高いCannbisを大量に吸引することは控えた方が良いでしょう。
低いTHC濃度のものや、CBDが多く含まれているものなども人気があり多くのショップで扱っているのでそういったものを吸引すべきです。
他にも高濃度のTHCリキッドタイプや、THCエディブルは避けることを推奨します。
治療やケアの場合、症状により高THCが必要であれば有識者にサポートしてもらいましょう。
オイルなどに高THCを混ぜて、ケアすることがあります。
これは人により絶大な効果が見られると耳にしますが、リトリートセンターのような医師やプロがいるところがお勧めです。
もし、一人になってしまうような状況で強い不安感などに襲われた場合にはCBDを使うのも一手。
あるいは、深呼吸をしてゆっくりと時間が過ぎるのを待ちましょう。多くは寝てしまえば問題ありません。
他にも、脳内で複雑に作用することで他の薬物との相互関係は研究がまだ進んでいないことも留意してください。
薬剤になっているドロナビノールやマリノールの相互作用で注意すべき薬としてあげられているものは以下のもの(一部)があります。
- ベンゾジアゼピン
- バルビツレート(鎮静薬・抗てんかん薬)
- 降圧剤(高血圧薬・ワーファリン、クロニジンなど)
- デクスメチルフェニデート(ADHDの薬)
- ブリモニジン(緑内障治療薬)
処方薬になる場合、相互作用を注意する薬は大変多くなります。
上記はほんの一部です。
当店で相談をいただくよく使われている薬の中では、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSDA(ドーパミンセロトニン遮断薬)の利用は注意が必要です。
双方の知識ある医師に相談しながら使えることが望ましいでしょう。
THCが不安をもたらした場合、他のハイになる薬物やアルコール・タバコなどは一緒に摂取すべきではありません。
アルコールやタバコ、コカインなどは急性ドーパミンの増加をもたらすので不安が増大します。
気をつけてください。
まとめ
改めて調べると、THCには想像以上に薬効がありました。
また、嗜好用のTHCを含むCannabisは、私たちを豊かにする数えきれない文化を育んできたことが判明。
難治性の病気に対しても使うことが出来て、事実世界中多くの人が助かっています。
レディー・ガガのように嗜好用として利用している方でも、それがケアになっている人は少なくありません。
また、医療用大麻が解禁になっていても、多くの場所でメンタルケアには利用出来ないなどの状況が散見されます。
臨床試験が遅れている関係で、線維筋痛症などの明らかに効果が実証されている場合でも使うことが出来ない人が大勢です。
THCは高い依存性はないものの、正しい副作用のリスクなどはあまり知られていないと感じます。(CHS発見の歴史は浅い)
併用を注意しなければならない薬もありますので、ご注意ください。
正しい知識を持つ医師や研究者などの専門家が増えて、安心して使えることになる時代を切に希望するばかりです。