150種とも言われる植物性のカンナビノイド、そのほとんどはゲラニルピロリン酸とオリベトール酸という前駆体分子から形成されるCBGAを前駆体*としています。
CBG(Cannabigerol / カンナビゲロール)を”カンナビノイドの母”と呼ぶにはそういった理由です。
そして、CBDとCBGは体内での役割が異なります。これを薬理学特性が異なる。と表現します。
2022年になり、CBGの人気が上昇。
そこでよく聞かれるCBGとは?そして、CBGとCBDにはどのような違いがあるのか?
CBDより眠くなりにくいという噂は本当なのか?
解説していきます。
目次
CBGとCBDの違いは?まず、CBGとは?
以前、2020年の初頭にCBGがブームになることと併記してCBGを解説しました。
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CBGとは? カンナビゲロール (cannabigerol) 人気の秘密
CBGがCBDより10倍の値をつけ、600万ドルを売り上げる。 ある日、こんな記事を目にしました。 あまりに驚き、何度か見直すほどでした。 10倍? 当店でも、レアカンナビノイド の入ったブロードスペ ...
しかし、Cannabisが基本的に禁止されている理由からなのか。日本ではCBGより寧ろ、わかりやすいCBNの人気が徐々に上昇。
当店でも1年以上に渡って、高い人気を誇っています。
さて、カンナビノイドのメッカ北米地方においてはどうでしょう?
2019年には、CBG18% / THC0.00%のHEMP品種PANAKEIAがカナダの保健省に承認されました。
スペインで作られたPANAKEIAは、カナダにて共同開発が進みアメリカで高い人気を誇っています。
ちなみにPanakeiaの意味は、ギリシャ神話で癒しの女神・万能薬の神とされています。オシャレ。
実際に、CBGは癒しの力を持った万能薬なのでしょうか?
改めてCBGをまとめてみる
CBGの役割は「CBDの役割とΔ9THCの役割の真ん中位な働き。」と、まとめられます。
具体性に欠けますので、CBGとは何かを含めて紐解いていきましょう。
通常CBGはTHCとCBDに次いで、3番⽬に多く存在するカンナビノイド。
CBG(あるいはCBGa)は多くのカンナビノイドの前駆体であり、成⻑過程でTHCやCBDを含む他のカンナビノイドに変換されます。
最終的には最大で約1%程度のCBGが、HEMPより収穫可能です。
それにより、3番⽬の主要カンナビノイドとも呼称されます。
医療的側面の研究が少しずつ発展。
安倍元首相の持病としても有名な、潰瘍性大腸炎や炎症性腸疾患(IBS/IBD)への効果をマウスモデルで実証。
他にもCBGは、ハンチントン病・多発性硬化症・パーキンソン病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)などで動物実験やin vitro*での抗炎症作用による疾患改善が報告されています。
さらに、MRSA(メチシリン耐性⻩⾊ブドウ球菌)感染を含む、厄介な感染症にも病原性細菌と闘うのに素晴らしい働きをすることが証明されました。
万能薬ではなさそうですが、幾つかの難病についても研究の価値があることを認められている事がわかります。
これらの特性はCBDと比べ、体内での働きにどのような違いがあるのでしょうか?
CBGとCBDの違い、体内での働き方は?
カンナビノイドの研究は、古くはカンナビスオイルなどで医療用途に使われていた事などからも細々と行われていました。
アメリカで長い間隠されてきたその情報は、日本人の血を引くトッド・ミクリヤ医師によりMarijuana Medical Papers, 1839-1972として250種の疾患に効くと書籍にまとめられます。
1990年代にEndogenous Cannabinoid System(ECS)が判明して以降、特にTHC及び合成THC等の研究が加速。
近年では、2018年6月にアメリカFDA(アメリカ食品医薬品局)にて天然由来CBDのEpidiolexを難治性
同年12月のファームビル(連邦農業政策法案)により全米でHEMP(THC0.3%未満)が合法化。
これによってCBDが猛スピードで市場が広まるのと同時に、研究が急加速していきました。
CBDがTHCよりも広範な薬理作用を持つことが世界中で知られ始め、ここ日本でもCBDは多くの方に注目されています。
CBDの薬理作用で、メカニズムが判明している一部を挙げていきます。
- 多様な生体機能に関わるTRP*(Transient Receptor Potential)チャネルの活性化
- セロトニン(5-HT1A)受容体*への作用
- GABA受容体*への作用
- PPAR核内受容体*への結合
- GPR55*(受容体)への結合(アンタゴニスト*)
次にCBGの薬理作用で、メカニズムが判明している一部を挙げていきます。
- 多様な生体機能に関わるTRP(Transient Receptor Potential)チャネルの活性化
- セロトニン(5-HT1A)受容体への作用(アンタゴニスト)
- PPAR核内受容体への結合
- α2-アドレナリン受容体への強力な結合
CBG最大の特徴且つ、最も研究が必要な理由を持つのがα2-アドレナリン受容体の強力なアゴニストという点。
これはCBG以外のカンナビノイドには(2022年春現在)見られない点です。
また、CBDとCBGのメカニズムを並べると複数の重なる点があるように見えます。
しかし、同じ受容体への働きかけでもその作用が異なることがある点には注意が必要です。
例えば、5-HT1A受容体への働きはCBDにはアゴニスト*特性があるのに対してCBGはアンタゴニスト特性。
具体的な違いはどこにあるのでしょうか?CBGを軸にみていきましょう。
*5-HT1A受容体...セロトニンは神経伝達物質5-HTとも呼ばれて、その受容体です。(サブタイプのうち、最も多い受容体)
*GABA受容体...γ-アミノ酪酸(γ(gamma)-aminobutyric acid)の頭文字を取ったGABAは抑制性の神経伝達物質。GABA受容体は他にも数えきれない作動薬があり、活性化すると抗不安作用や鎮静作用、睡眠作用などへの働きかけがなされる。
*PPAR核内受容体...エネルギーホメオスタシスに関わる核内ホルモン受容体スーパーファミリーのひとつ
*GPR55...THCや内因性カンナビノイド アナンダミドによって活性化される受容体で、第3のカンナビノイド受容体と呼ばれる。大手製薬会社が最も研究を深めているカンナビノイド受容体とも言われている。
*アンタゴニスト...受容体に結合はするが生体反応を起こさず、その結合によって本来結合すべきリガンドと受容体の結合を阻害する薬物のこと。
*アゴニスト...受容体分子に働いて神経伝達物質等と同様の機能を示す薬物。生体内で働いている(元々体内に備わっている)物質はリガンドと呼ぶ。
CBGはCBDよりも鎮静作用が高い?CBGのみの特性
CBG最大の特徴であり重要なポイントである、α2-アドレナリン受容体への結合。
皆様もよく耳にしたことのある、アドレナリン(=エピネフリン)等が作動するためにある受容体です。
今回はここに着目。
受容体はよく鍵穴だという表現をされる事があります。この鍵穴に、鍵が挿さる事でその機能が情報として体の中で伝達していきます。
ところがこの鍵穴は、おうちの鍵穴のように一つだけの鍵が刺さるわけではないことがわかっています。
ときに様々な神経伝達物質やホルモン・シグナル分子が挿さったり塞がったり刺激を与えます。
また、受容体は基本的に生体内の神経伝達物質を受け入れるために存在する為に体内の至る所に存在しています。
基本的にα2-アドレナリン受容体は、中枢神経系か末梢神経系のいずれにも発現。
末梢神経系には自律神経を司る役割と、運動神経を司る役割があります。
自律神経は交感神経のはたらきと副交感神経のはたらきを無意識に調整する神経です。
アドレナリンやノルアドレナリン、ドーパミンを受け取るα2-アドレナリン受容体は自律神経の働きに大きな役割を果たしています。
そのため、すでに他のクスリが開発されて存在。
α2アドレナリン受容体作動薬として、塩酸デキサメデトミジンは鎮静作用があり、低血圧・徐脈の副作用が少なく一部の国で15年ほど前に承認。
他にもクロニジンという薬は、降圧薬(高血圧用の薬)として使われています。
α2アドレナリン受容体への働きかけで期待されるのは交感神経の抑制や血管収縮、鎮静作用と鎮痛作用。
アドレナリンと聞くと、交感神経を興奮させることもある作用のイメージが強いかもしれません。
しかし、α2アドレナリン受容体への働きかけについて実際には交感神経をむしろ抑制させます。
つまり、CBGは鎮静作用や血圧を抑える働きをするのではないか?という大きな期待がかかっているのです。
しかし、一点どうしても不思議な点が生まれます。
CBGが眠くなりにくく、集中力が高まるとされる理由は?
日本だけではなく、海外のレビューでも「CBGは眠くなりにくい」「集中力高まる。」と言うレビューが散見されます。
CBDも少量では覚醒作用があるとされます。
この作用機序については今現在も解明されていないものの、動物のテストにおいてはドーパミンの増加が見られたためです。
ドーパミンの放出は脳の報酬系に働きかける。
報酬系はモチベーションや欲望、渇愛にポジティブ感情・幸福感・エクスタシーを司る神経回路のグループ。
これによって、人や動物は行動を引き起こす衝動に駆られ実際に行動します。
では、集中力が高まるといったことや眠くなりにくいとされるCBGにはこのような結果が出たのでしょうか?
CBGが眠くなりにくい理由は、完全なるミステリー。
北米でCBGとCBDの違いを語るブログや、CBGのレビューで集中力が高まることや眠くなりにくいことを示している場合はとても多い。
しかし、そのメカニズムのソースを書いたページはゼロ。
実は世界中のサイトを探しまくって、最後には現役バリバリでカンナビノイドを研究している先生にも直接聞きました。
が、やはりその理由は不明。
今少しずつ研究論文も増えているので、理由の解明を期待しています。
あなたが実際に眠くなりにくくなるか、集中力が高まるかどうかはCBGを試してみるしかありません。
また、最新の研究では歯の健康に期待が上昇中です。
CBGは虫歯菌にも期待が高まる?
CBGが虫歯菌の一種、ストレプトコッカスミュータンスに対する抗菌特性が証明されています。
以前にも、歯磨き粉を研究する会社でのin vitroではそういった結果が出ていました。
それは、CBGに限らずCBDや他のカンナビノイドでもルーペ内のバイオフィルム形成を防いだことがわかっています。
今回の研究はCBGに特化。CBDよりも抗菌特性があることを裏付ける論文と言えるのではないでしょうか?
北米ではどういう人がCBGを使っているのか?
カンナビノイドのメッカであるアメリカでは、CBGをどういう用途に使ってどんな結果が出ているのでしょうか?
CBG優勢のCannabisを使っている方への調査報告2021として挙げられています。
不安症状向けに使ってる方が51.2%、慢性疼痛に使っている方が40.9%。うつ病(33.1%)・および不眠症/睡眠障害(30.7%)と続きました。
うつ病に使っている80%、不眠症に使っている73%、そして慢性疼痛に対して使っている73.9%が従来の薬よりもCBGが優勢なCannabisの優位性を主張。鋭い結果です。
しかし、こちらはあくまでCBG優勢のCannabisを使っている調査。
CBGとCBNを同時に多めの摂取をしたことがありますが、強い脱力感と眠気を感じました。
以上のことからCBGは、アントラージュ効果によって他のカンナビノイドの特性を強く引き上げる可能性があります。
まとめ
最新のCBG情報を軸にして、CBGとCBDの特性を比べてみました。
結果は以下です。
- CBDの薬理作用は非常に広い
- CBGの薬理作用は不明な点が多い
- CBGはCBDよりも眠くなりにくく、集中力が高まると言われているので人気が高まっている。だが、そのメカニズムは不明
- 抗菌作用や鎮静作用についてはCBGが上か?
これから、CBGのプロダクトが増えることを約束します。
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