2022年9月29日。
厚生労働省から日本で医療大麻が解禁になることが発表されました。
今後、医療大麻の解禁がどういう変化を起こすのか?医療大麻はどういう使い方が出来るのか、非常に気になりますよね?
医療大麻解禁を厚労省が発表 。日本の医療大麻とは?
2022年9月29日(木曜日)、Yahooニューストップ、テレビ朝日、TBSが医療大麻解禁を報道しました。 海外からはロイターも。 VapeManiaでは、過去何年にも渡って医療大麻について発信。 2 ...
今、解禁後すぐに使えるようになると考えられるのがEpidiolex(エピディオレックス)です。
Epidiolexは、イギリスの製薬会社GW Pharmaceuticals(GWファーマ)がHEMPより抽出した天然カンナビノイドであるCBDを使用した難治性癲癇(てんかん)のドラべ症候群 / レノックス・ガストー症候群 / 結節性硬化症の治療薬。
アメリカでは、FDA(食品医薬品局)から2018年に承認されました。
日本では、ドラべ症候群約3,000人とレノックス・ガストー症候群約4,300人。そして結節性硬化症約10,000人が罹患者。
今回される法改正での医療大麻適用は、合わせても17,300人程度(とその家族)にだけということになります。
時間はかかりますが、もっと広い疾患適用範囲で医療大麻は使えるようになるはずです。
カンナビノイドの研究は急速に進んでおり、現在ではエビデンスが数多くあります。
それらのエビデンスを見てわかることは、薬物耐性のあるいくつかの重篤な病気に薬効があることと、安全性が非常に高いことです。
さらに、精神疾患などを含む幅広い疾患に効果があることも示されています。
医療大麻にはデメリットが無いわけではありません。
それでも、メリットを享受して使っている人々が世界中にいて急速にエビデンスが揃ってきています。
これまでのエビデンス不足は否めないからこそ、もっと寛容になるべきです。(利用者が増えることは、それだけデータを増やすことになる。)
最後は科学的根拠に基づいて、医療大麻の運営もされていくはず。
私はそう信じています。
コレが希望的観測ではないことの詳細を、つまびらかにしていきましょう。
目次
医療大麻が使えない日本の現状
現在大麻については、取り締まる側の省庁でも意見は割れています。
ただ、現役で取り締まり側に所属している人が「医療大麻は非常に重要だ。」と声を上げているのは聞いたことがありません。(公務員という立場上難しいのでしょう。尚、アメリカ等では声を上げる人がいました。)
それでも医療大麻の解禁は、麻取*も所属する厚労省が発表したものです。
このインパクトは私にとって、とても大きかった。
取り締まりを強化したい麻取と、医療大麻の解禁を指示した厚労省のどなたか。厚労省内でも、意見が割れていることは間違いないです。
私が一番大麻と栽培に詳しいと思っている、正式なライセンスを持っている友人曰く「厚労省の一部は、自分を余裕で凌ぐ大麻知識を持っている。」とのこと。
大麻に詳しい人はたとえ厚労省の方であれ、取り締まりを厳しくするというのが悪手であることを理解しているはずです。
また、正高佑志先生をはじめとする医師の中にはハッキリとその必要性を訴える、あるいは考察する人が出てきました。
正高佑志先生とは?病院勤めの内科医からラッパーまでの経歴
2017年から活動している、一般社団法人Green Zone Japanの代表理事で内科医の正高佑志(まさたか ゆうじ)先生。 代表理事を務めるGreen Zone Japanでは、医療大麻を必要とす ...
私が好きなタレント医師は以前地上波のテレビで、日本人はカンナビノイド受容体が少ないので(医療大麻は)必要ない。
との理論展開をしていましたが、それはちょっと無理があります。
一応いくつか検索してみましたが、それらしい(日本人のカンナビノイド受容体が少ないとの理論にあたる)ソースは一つも見当たりませんでした。
当時は、どうあっても反対しなければならないお立場だったのでしょう。
ここからも分かる通り、正当な理由で反論することは結構難しい筈なのです。
マスメディアを通じ、【ダメゼッタイ】の形容詞を押し通そうとされていたのがつい最近の出来事。
私が生まれてきて今日(こんにち)までに初めて、【医療】の冠がついたのです。
厳しい道程とはいえ、ようやく第一歩が示されたと感じます。
ただ、2022年11月現在医療大麻は日本では使えません。
日本で今可能な対処法は、どういったことでしょうか。
カンナビノイドでメンタルケア
今の日本では、カンナビノイドをメンタルケアに使っている方がとても多いです。
VapeManiaでは現時点で使えるカンナビノイドでの、最適な利用法をこれまで有識者からも聞いてきました。
例えば2022年10月1日開催の「正高佑志先生のCBD医療活用相談会」において。
正高佑志先生のCBD医療活用相談会 10月1日(土)恵比寿店にて
この度、10月1日(土曜日)13時から一般社団法人Green Zone Japan代表で医師の正高佑志先生を迎えたCBD医療活用相談会を行います。 VapeManiaでは、医師の無料相談サービスを3年 ...
「CBDとメンタルヘルス」と銘打って、上記写真4つについてエビデンスを軸にプレゼンをしてくださいました。
そこでは正高佑志先生による独自調査の結果もあり、CBD利用の目的で最もポイントを得たのはリラクゼーション。
3位には抗不安目的で使っていることが明らかになったことを報告してくださいました。
要は、メンタルヘルス目的の利用がとても多いことを示唆しています。
他にも、ドイツのハイデルベルグ大学で行われた統合失調症患者へ向けての第2相臨床試験の精神症状が緩和した結果について。
2019年に行われたコロラドのクリニックにおいて、PTSD患者へのCBDを加えた総合治療で重症度について調べた結果28%の改善が見られた評価についても掲示。
正高先生から科学的に裏付けられた利用状況やエビデンスで、どういった結果が出ているのかをわかりやすくご教示いただきました。
結論として、CBDのメンタルヘルス目的の利用は非常に多い。
そして、これからも研究が増えていくことが予測されることがわかりました。
「正高佑志先生のCBD医療活用相談会」ではCBDからさらに一歩踏み込んで、CBNにも言及。
お客様はカンナビノイド製品で、どのようなものを使えばいいかの指標に。
使う量についての相談や、お身内の方へプレゼントしたい場合のポイントなどの相談に答えてくださいました。
私達VapeManiaのスタッフも日々、ご質問頂いている内容です。
しかし、現役医師がエビデンスを伴って紹介するその説得力たるや。
こういう機会は、お客様だけでなく事業者も積極的に体験することをオススメします。
2022年12月10日(土)に正高佑志先生による「CBD 医療大麻相談会」を VapeMania 恵比寿店で開催
キャンセル待ちが続出したり当日予約では入れなかった前回の CBD 医療活用相談会。 大変ご好評をいただきまして第2弾を開催するにいたりました。 今回も早い者勝ちとなってしまいますが、座席数に限りがあり ...
もうひとつ、大きなニーズになっている睡眠について。
睡眠タイムにCBD製品を利用
起業当初より、日本中にこの悩みが蔓延っていると感じたのが「睡眠」についてです。
朝日新聞の調べでは、9割の人が睡眠に何らかの悩みを持っているという衝撃の結果が出ました。
不眠は放っておくと、重度の精神疾患に繋がります。
やはり正高佑志先生のCBD医療活用相談会でも、「不眠とカンナビノイド」と銘打って数々の実情をデータで紹介。
冒頭で、不眠は精神疾患の初期症状であることを教わりました。
CBD利用のニーズの第2位は、不眠。
ただし正高先生は日本で不眠症の方が最も処方されるベンゾジアゼピン系の睡眠薬が、圧倒的に効果があると断言しています。
では、なぜCBDやCBNにCBGまでもが治験されているのか?
それは副作用なども含めた安全性の高さがあるからでした。
例えば日本でよく処方される睡眠薬である、ベンゾジアゼピン系の薬に関して言えばWHOは合理的な利用は30日に限定すべき。としています。
これは、ベンゾジアゼピン系の薬では乱用の恐れがあることがひとつ。
また、依存時の離脱症候群が非常に辛いものなどの理由があるとされます。
CBDやCBN、またはCBGにはそういった離脱症状は確認されていません。
では将来的に、THCを含んだ医療大麻が幅広く使われるようになった場合にはどうなるのか?
結論として大麻の場合THCを含んでいても、離脱症状は軽微なものだとされています。
医療大麻解禁で日本が使えるようになる薬剤
今回厚労省が発表した医療大麻の解禁は、Epidiolex(エピディオレックス)の臨床試験を急ぎ患者へ使えるようにすること。
Epidiolexは、有識者から「大麻を使ったカンナビノイド製剤」や「大麻抽出由来のカンナビノイド医薬品」と表現されたりします。
これは、聖マリアンヌ医科大学脳神経外科学の教授:太組一朗(たくみいちろう)先生もおっしゃっていたことです。
太組先生は、癲癇(てんかん)手術の権威。
癲癇手術では、世界一の腕を持っているそうです。
聖マリアンヌ医科大学は、カンナビノイド製剤Epidiolexの臨床試験に早々と名乗りをあげた大学になります。
有識者であり当事者でもあられる太組先生をして、「外科医として、全てのてんかんを手術で治療できればいいが、そんな簡単な病気ではない。」とのこと。
17,300人の患者がすぐに試せるようにと、2020年6月から臨床試験の準備をしているようです。
また、さらに期待が持たれる薬剤にSATIVEX(サティベックス)があります。
これもまた、GWファーマが開発した大麻抽出由来のカンナビノイド医薬品。
多発性硬化症(日本の罹患者は17,600人程度)の症状を緩和する処方薬、口腔用スプレー形状で2010年にはイギリスで認可を受けています。
SATIVEXは1スプレーで、2.7mgのTHCと2.5mgのCBDを摂取出来る薬剤です。
GW Pharmaceuticals東京本社の代表、篠原久治(しのはら ひさはる)氏曰く「現状は法改正“案”であることも鑑みて、THC含有のSATIVEXが使えるようになるかどうかはわからない。」と回答しています。
EidpiolexとSATIVEX、2つの大麻抽出由来のカンナビノイド医薬品である医療大麻はどんなものなのでしょうか?
Epidiolex(エピディオレックス)
現在確実に利用できると目されている、薬物耐性難治性癲癇(てんかん)へのEpidiolex。
厚労省曰く、「日本でも臨床試験が必要」とのことで聖マリアンヌ医科大学を始めとするいくつかの機関で臨床試験が予定されています。
難治性癲癇は幼児や小児時に現れることが多いため、ここは頷ける点です。
ただし、5年以上前にアメリカと欧州共同で120人を超える子供達へヒト臨床試験を行なっています。
はっきり言えば(THCを殆ど含まない)CBDティンクチャーオイルなので、他の癲癇薬に比べれば安全性は非常に高いです。
対象とされるのは、下記3つの難治性癲癇。
- ドラべ症候群
- レノックス・ガストー症候群
- 結節性硬化症
Epidiolexは2023年の6月頃に解禁されると目されています。
課題は、それ以外の癲癇患者への対応はどうなるのか?
日本では17,300人の罹患者以外に、およそ100万人の癲癇罹患者がいるとされます。
日本に限らず、世界中で認可されているEpidiolexの大きな課題です。
Sativex(サティベックス)
その後解禁になるのは、Epidolexと同じ製薬会社GW ファーマが作製したSATIVEX(多発性硬化症の治療薬、THC1:1CBD)とみなされています。
一番最初にカナダで2005年に承認され、全世界の30カ国で認証されているSATIVEX。
多発性硬化症は、原因不明(いくつかの仮説が立証されたりしているが、確定されない)の中枢性脱髄疾患(ちゅうすうしんけいだつずいしっかん)に分類される病気です。
発症の仕方も症状も様々で、中枢神経系において炎症、脱髄(だつずい)*、グリオーシス*が3つの主な特徴とされます。
これらの症状は寛解と再発を繰り返し、そのパターンは4分類だったりと病気の判定がしづらいことも含めて非常に厄介な疾患です。
そのため、多発性硬化症は難病指定されているのです。
SATIVEXは多発性硬化症による、神経因性疼痛、痙縮(けいしゅく / 筋肉が過緊張し、手足が動かなかったり、勝手に動いてしまう状態)、過活動膀胱などの症状緩和に有効であるために使われています。
- 脱髄...神経線維を覆っている髄鞘(ずいしょう / myelin sheath)が変性・脱落すること
- グリオーシス...神経組織の重大組織であるグリオ細胞が肥大したり、増殖等する症状
医療大麻解禁で日本はどうなる?
日本が医療大麻解禁になると、大麻とはどう言うものなのか?と、全く関心がなかった人にも事実が届くようになってきます。
海外の場合には、医療大麻が解禁になると同時に嗜好用も治療のために使っている。
といったアピールが、次から次にメディアに登場してくることが少なくありません。
そうして、少しずつ医療大麻の適用疾患の用途が広がり「嗜好用大麻もそんなに害ないか。」と、非犯罪化や合法化が進んできました。
それらどこの地域や国でも、税収が爆増。
例えばアメリカの場合、隣の州が解禁したら財政が潤ってる。我々も解禁しよう、という動きが州議会や市議会で活発化するといった具合です。
ところが、日本の場合にはアメリカのような流れが難しいかもしれない動きが見られます。
今回厚労省が医療大麻の解禁とセットにして考えているのが、大麻使用罪という新たな法律です。
現在も、THCを含む大麻をハーブ状などで所持や譲渡販売をすると罪に問われます。
しかし、使用の罪はありません。
ここに、大麻使用罪を新たに設定しようという動きが急加速しています。
厚労省主導で委員が設置され、「大麻に詳しくない有識者による」賛成多数で可決されました。
これから、参議院でどうなるかが決まります。
まず、日本のスタイルで法律は一度出来ると変更するのが難しいです。
法律を設置させたくない場合には民衆が動くしかありませんが、日本で大麻を吸う人はサイレントマイノリティーとでも言うのでしょうか。
各国と比べて大麻を吸う人が非常に少なく、ほとんどの人が公にしてません。
つまり、この先どうなるかが非常に見えにくい。
日本はアメリカに倣っていると考えられるので、フォーカスしてみましょう。
アメリカの動向を注視する
日本で医療大麻が解禁になることが発表された1週間後のアメリカ。
大麻単純所持で逮捕起訴された6,500人を超える方々が、恩赦になることをバイデン大統領が発表しました。
バイデン大統領のキャリアには、麻薬政策に熱心に取り組んでいることが知られています。
例えばバイデンが議員時代に提案したRAVE法なる法案は、麻薬の使用や所持譲渡などを厳しく取り締まることを定義。
結果的にRAVE法は廃案になったものの、「不法薬物反拡散法」としてほぼ同じ内容で法律が作られました。
つまり、アメリカではもう大麻を麻薬としては扱わない。という方向に舵を切り始めたのだとも言えます。
「大麻の単純所持で逮捕してきた人々の人生を狂わせてきてしまった、この過ちを正す時が来た。」と、マスメディアを通じて発表。
ツイッターでも大きな話題となりました。
As I’ve said before, no one should be in jail just for using or possessing marijuana.
Today, I’m taking steps to end our failed approach. Allow me to lay them out.
— President Biden (@POTUS) October 6, 2022
訳:マリファナを使用または所持しただけで刑務所に入れられるべきではありません。本日、私は失敗したアプローチを終わらせるための措置を講じます。
ここを着目すると、大麻使用罪は結構無理筋な話です。
なにしろ、日本の大麻取締法はGHQの意思によって作られた法律。
大戦前に大麻は、治療薬として日本の薬局方に収載されていたのです。
次に医療大麻については、EpidiolexがFDA(アメリカ食品医薬品局)の認証が受けられる(2018年)前から各州で合法化が進んでいました。
現在までに、48州が解禁。
各州様々な形があるものの、少なくとも9つ以上の疾患を対象に使えます。
日本がこの動きに倣えば、多くの人に医療大麻が届くでしょう。
将来の展望について
現状、THCを含んだ医療大麻が使われるようになるのは2024年以降と考えます。
そして、現在は他のカンナビノイドの多くがサプリメントとして利用することが可能です。
ここで注意しておかなければならない点が出てきました。
我々が取り扱っているような安全な天然カンナビノイドについてはサプリメントとして不調な部分に幅広く使うことが出来ていますが、医療大麻がすぐにそうはならないことに注意が必要です。
つまり、メンタルケアや睡眠のケアに医療大麻がすぐには使えるようにはならないことを把握しておくべきでしょう。
ただ悲観することはなく、一度医療大麻が解禁になればアメリカの実情等を見ると適用疾患はどんどん増える傾向にあります。
まとめ
医療大麻が解禁されると発表されてから1ヶ月半で、こちらの考察をしてみました。
- 医療大麻解禁の1年目は、Epidiolexのみ
難治性癲癇(てんかん)のための処方箋(ほぼ確実) - 2年目以降にSATIVEXの解禁
多発性硬化症の処方箋 - 精神疾患を含めた幅広い疾患に対応するようになることを予測、期待したい
- 大麻使用罪は、適用疾患の広がりを遅らせる可能性がある
- 注意点:サプリと医療では使い方の自由度が異なる
これからも医療大麻の動向については、様々な発信が各地で行われているので情報を追い続けることを約束します。