様々な症状を持つ、原因不明の病気とされる線維筋痛症。
遺伝性ではないとはわかっていますが、原因不明で、日本にも罹患者が200万人を超えると言われています。
つらい症状も幾つか確認がされており、またそれらが重複することも少なくありません。
- 全身
- 肩,背中,腰,臀部
- 筋肉
- 各関節
腱 ,靭帯,内蔵
- こわばり
- 口内炎
- 光線過敏(日光アレルギー)
- 疲労感 等
- 動悸
- 咳嗽(咳のこと)
- アレルギー症状
嚥下痛 (食べ物を飲み込む時痛みが発生すること)- 冷え
- 生理痛,月経困難症 等
日本の場合には、女性8:1男性の割合で発症するようですが、欧米ですと、女性5:1男性の割合で発症することが分かっています。
以上のような症状が発症すると、当然日常生活にも支障が出ます。
パートナーや近い人間がそういった症状があるときに、見た目には全くわからないことが殆どです。
臨床症状と重症度分類(ステージⅠ - V)もありますが、例えステージⅠであっても酷い苦労を感じる場合もありますので、理解が必要です。
さて、この線維筋痛症が日本では原因不明とくくられることが多い中、昨今の仮説ではエンドカンナビノイド系、オピオイド系(オピオイド受容体やペプチド(オピオイドペプチド)の総称)の変質変容が重大な要因ではないか、と考察されています(後述)。
ところが2014年アメリカ神経学会は、オピオイド製剤(ケシから採取されるアルカロイド及びその化合物のこと)では危険性のほうが遥かに上回ると声明が発表されて、2017年には「オピオイド危機」と呼ばれる公衆衛生上の非常事態宣言がなされています。
こちらのブログを御覧の方は御存知の通り、カンナビノイドを使ったケアに、副作用はあれど、危険性は殆どありません。
この数年、この事がきっかけになり急激に医療大麻やCBDが線維筋痛症(だけではないが)に対して有効かどうかの研究が進んでいます。
線維筋痛症にCBD は効くのか?臨床試験が増える。
今、世界中で悠に1兆円を超える金額が大麻の研究に投じられています。
グリーンラッシュ化にあって、一時高騰を見せていたCBDやCannabis、そしてHEMP。
2018年12月にアメリカで農業法改正によりHEMP(THC0.3%以下のCannabis Sativa Lの特定品種)はDEA(麻薬取締局)の管轄からUSDA(アメリカの農務省)の管轄になりました。
HEMPは誰でも栽培が出来るようになり、大麻農家が爆発的に増加。
今や代理店を通さず、農家が直接私にDMを送ってきます。
しかも日本の事情を良く知っている人も少なくありません。
業界はプレイヤーが増えましたが、広さはないのですぐに噂は広まります。
日本は中国よりも大きなマーケットになる可能性を秘めており、アメリカの企業も農家も大注目なのです。
法改正から早2年、HEMPが飽和状態になり価格が下落してきました。
大麻の持つ力はまだまだ無限大で、価格が高いことに疑問を持った方々が行動したことも一因ですが、プレイヤーが増えれば最高4毛作出来る大麻はブロッコリーと同じ経費だと言われていますので、自由に栽培さえ出来ればこっちもの。
研究する側も、イスラエルがトップを走っている現状から多くの国で更に踏み込みが見られます。
2020年12月9日、米下院はこれまで50年以上ミシシッピ大学で栽培した大麻しか研究できなかった状態を解消するために、医療用マリファナ研究法の改正案(the Medical Marijuana Research Act)を提出。
今や大麻、と一言でいっても数万の品種があり、それぞれの薬効が違うどころか、CBD一つとっても大きく個人差があります。
また、品種の掛け合わせによって目覚ましい薬効が出ることなどもあるそうで、研究は無限にしなければなりません。
何しろエンドカンナビノイドシステムの仕組みにたどり着いたのは20世紀の終わり。まだ30年ほどの歴史です。
エンドカンナビノイドシステム ( Endocannabinoid System / ECS )とは?
CBDを理解した方が、CBDと上手に付き合うことが出来ます。 CBDの理解で重要なこと。 それは、CBDが体内に働く機序を司るEndoCannabinoid System / ECSエンドカンナビノイ ...
反対に言えば、今この研究をしない国家はどうかしています。
線維筋痛症は脳からくる神経症、カンナビノイド受容体が多数存在する脳にあって、CBDや他のカンナビノイドが効果を示すことはいくつも報告がありました。
最先端研究のイスラエルから
写真:出典
2018,2019年のイスラエル(イスラエルは医療大麻の最端先進国)にての臨床試験結果にて、医療大麻の著効が示されました。
31名の治験者は、VAS(長さ10cmの黒い線で痛みのレベルを表すスケール)が8cm以上に当たる方のみを対象に試験をした結果です。数値が大きいほど痛みが強い、ということになります。
グラフの赤色が医療大麻を使って6ヶ月経過した状態のとき、紫が医療大麻を使って3ヶ月経過した状態の時で、青は麻薬である処方薬オキシコドンと日本でも線維筋痛症の処方箋にもなっているデュロキセチン(Duloxetine、商品名サインバルタ)のみを3ヶ月処方された状態を比べた結果です。
これは患者の主観的な体調の変化を表しており左から、最高 / 結構良い / 少し良い / 無変化 / 少し悪い / かなり悪い / 最悪 の順です。
劇薬であるサインバルタと麻薬をつかって最悪、との感想は非常に大変そうです。
基本的に医療大麻の利用は処方箋との併用が推奨されることが多いようですが、今回の結果は処方箋と医療大麻どちらかを選択したものです。(対象者は同じ、つまり9ヶ月間(3ヶ月は処方薬のみ、6ヶ月は医療大麻の観察結果)
この結果が喜ばしいのは、THC 1:4 CBDという、THCに恐れがある人にも使いやすい医療大麻を使っての結果だということです。(喫煙及びVAPEを利用)
この一年は日本での動きをずっと追いかけていましたが、医療大麻として検討されるのはTHCを殆ど含まないEpidiolexとTHC 1:1 CBDのSATIVEXの2つであるということです。
どちらも現在は線維筋痛症の処方薬としては認められていませんが、このイスラエルでの二重盲検試験は素晴らしい結果が出たこと、これは間違いありません。
(医療大麻利用後)半年後の結果で、8cmにあった痛みのスケールは3cm強までに下がりました。
オランダでのテスト
20人の線維筋痛症女性患者に3つのCannabisとプラセボをランダムに与える実験が行われました。
- プラセボ
- 6.5%THCと8%CBDのバランスの取れたカンナビノイドプロファイルを持つサティバ優勢株Bediol
- 医療大麻向けに作られた2014年に出来たCBD優勢品種 (less than 1% THC and 9% CBD)
のBedrolite® - Bedrocan®というオランダ生まれの高THC品種
こちらは残念ながら、CBD優勢品種のBedrolite®では誘発または自発的な痛みを和らげることができるという具体的な証拠は出ませんでした。
BediolとBedrocan®においては線維筋痛圧痛閾値(刺激の存在、あるいは刺激の量的差異を感覚するに必要な最小限の刺激値)について、有意な改善が見られました。
日本:CBDオイルの経鼻投与
CBDオイルの目覚ましい流行ぶりは、日本の医師や科学者にはもう伝わっております。
一般財団法人東方医療振興財団主催及び日本アーユルヴェーダ学会 上馬塲 和夫 (ウエババ カズオ)理事長が書かれたこちらの論文。
女性2人に対して、経鼻投与を1ヶ月行い症状がそれぞれ半減したと書かれています。
フルスペクトラム CBD オイル経鼻投与のテスト
線維筋痛症に悩む方とは言え、経鼻投与というのはなかなか勇気がいるものです。
私は鼻の通りが悪いので、冬の時期に鼻うがいのキットを購入し試してみたのですが、最初は目から涙が出て喉も薬剤が入って大変なことになるんじゃないか。
と思っていましたが、意外にスムーズ。
なので早速試してみました。
最もメディカルを意識していて、フィードバックを一番頂くのが、PharmaHempの商品。
今回は、加熱をしていないタイプでコチラの商品を試してみました。
PharmaHemp 15% (1500mg)CBD OIL
品質は抜群、間違いのない商品です。
コチラは数滴でも非常に
辛い、喉の奥が辛いッ。
写真位の量があったのだと思うのですが、鼻から喉に来てガブガブジュースを飲む羽目に。
喉がヒリヒリするので、量は少なめからチャレンジするべきですが、個人的な感想として舌下より良いかもしれないと感じました。
また、
HEMP BABY フルスペクトラム CBD2000mg オイルはMCTオイルベースなので試し、メンソールが少し効いているからか、鼻が通った感じがしましたが辛味はありませんでした。
まとめ
オランダでの研究では芳しくない研究結果ではありますが、日本でのテストや先進国イスラエルでの二重盲検試験ではCBD強品種で、とても良い結果が出ています。
また、悪化したといった報告は殆ど見られません。
国際学会でもカンナビノイドについて言及
2020年ウィーンで行われた第二回線維筋痛症国際学会では、特にカンナビノイドの働きについての説明があり、欧州疼痛連盟(EFIC / European Pain Federation)では、医療大麻が第二次あるいは第三次的に補助的な薬物として考慮されるべきものとされいていることなどが発表されていた。
といったような話が出ております。
線維筋痛症は標準化された治療薬があってないようなものである、といった記述も。
この学会では結論としてカンナビノイド、及びエンドカンナビノイドのモジュレーター(アロステリック酵素(他の化合物と結合して酵素活性が変化する酵素のこと)に結合してその酵素活性を調節する化合物)が有望な新しい鎮痛剤であることが前臨床試験で示されていて、更なる臨床試験が求められる。
と締めくくられており、カンナビノイドへの強い関心が持たれていることがわかりました。
アメリカでは鎮痛のためにCBDを使う方が非常に多いとききますが、背景には冒頭に書いたオピオイドの問題が非常に深く関わっていること。
全米でうねりのように起きた各州での医療大麻合法化や、CBDのムーブメントによって多くの人がその存在に気がついた経緯があります。
ここ日本でも痛みによるストレスにさらされている方は少なくないはず。
線維筋痛症に罹る人はとあるデータでは人口の2%と決して少なくない数値。
多くの方が選択肢に選べるように最低限、CBD多めのフルスペクトラムカンナビス製品が使えるようになることを願ってやみません。