HEMP と CANNABIS どちらからもCBD は摂ることが出来、2013年に始まったブームの皮切りになったCBD はCANNABISから摂れたものでした。
どう違うのかが分かりにくいのですが、はっきりとした決まりがあります。
2018年12月、アメリカで農業改正法案(United States farm bill)にトランプ大統領がサインしました。
目玉は農家への資金調達についてやエネルギー政策のことでしたが、私達にとって最も重要だったのは、HEMPを規制物質のスケジュール1から除外するといったことでした。
これにより、基本的には全米の農家はHEMPを育てられるようになったのです。
さてそれは一体どういうものなのか、紐解いていきます。
目次
HEMP と CANNABIS は別の植物?CBDはどちらに入っているのか?
HEMP と CANNABISいずれからもCBDが摂れますし、どちらも大麻です。
Google翻訳を使うと、HEMPは麻、CANNABISは大麻と翻訳されます。
HEMP と CANNABISと呼ばれる植物 大麻には、非常に多くの品種があります。
ここで説明しなければならない品種は、学術名Cannabis sativa L.のことになります。
ややこしいことに、学術名は全く一緒で、HEMP と CANNABIS は大麻の品種を分類するために使用される用語です。
CBDはどちらに多く含まれるのか、明確な違いはどこなのか、解説してまいります。
区別するのにはどんな理由があるの?
HEMP と CANNABIS いずれからもCBD が摂れるのにどうして区別をする必要があるのか?
また、どういう区別なのか?
ポイントはCBDではなく薬効もありながら、精神作用も持つ唯一のカンナビノイド THCになります。
大麻はご存知の通り、この日本でも1948年に制定された大麻取締法という法律に基づいて随分悪者にされております。
実をいうと十数回改正されていますが、悪者であることはむしろ20世紀のうちには強調されており、世界が21世紀大きく大麻についての考えが変化している今もってしても、また厚労省の方々が一定条件を満たせば治験が「可能」と回答している*のにも関わらず行政で話題になることすらほぼタブーな状態です。
世界でも、アメリカの差別的取締から始まった禁酒法が終わった直後の1937年マリファナ課税法(Marihuana Tax Act)が設立されました。ちなみにこのマリファナ、という言葉は今や世界の共通語ですが、これ自体が差別的な表現であるともされています。
1930年にDEA(麻薬取締局)の前身組織FBN(アメリカ連邦麻薬局)の長官に就いたハリー・アンスリンガーは課税法設立の前年Reefer Madness a.k.a Tell Your Children といった反Cannabis キャンペーンの代名詞とも言える映画を放映を仕掛けたと言われています。
全てが理解され始めたアメリカでは今やこの映画は多くのカンナビスト達に「ネタ」にされていますが、多くの市民にはこの映画によって恐れを植え付けられたようです。
当時はTHCが単離されたわけではないので、つまり大麻は恐ろしい、という扱いだったのだと思います。
1964年にTHCが単離されて以降、精神作用がこれによってのみなされていることがわかってからは、マリファナ課税法が廃止された翌1970年にはいかなる場合にも利用してはならない、医療用とは全くないとされる規制物質法のスケジュール1に指定されてしまう、という大悪党に指定され何なら1971年にはときの大統領リチャード・ニクソンによってWar on Drugsの標的として、戦争の相手にされてしまうほどでした。
時は流れTHCの薬効は世界の常識ですが、この日本では情報を取りにいかない限り、今尚ダメ絶対の恐ろしい薬物だと思っている人がいるほどです。
私たちのように毎日大麻の勉強をしている者からしても、麻取を抱える厚労省の多くの人にとってもおそらく、申し訳ないのですが「インターネット繋がってないのかな。」と思うほど、情報量の少なさを感じます。
現在はまだ、THCの精神作用が麻薬として取り扱われているため、その含有量をゼロにするのは難しいこともありその量によってHEMP と CANNABIS を切り分けしています。
*2019年3月19日国会にて、沖縄および北方問題に関する特別委員会での質疑に対し、厚労省 厚生労働官房森審議官がEpidiolexの臨床試験は可能、と回答。また、同年5月15日にも参院沖縄・北方問題特別委員会にて、同氏がTHCが入っていても同じ理由で可能と回答。
大麻という植物の強さ
HEMP と CANNABIS はいずれもCBD を作りますが、どちらもCannabis Sativa Lであることは前述の通りです。
このCannabis Sativa Lは、植物としても非常に丈夫な上、土壌を綺麗にする(ハイパー・アキュミレーター)ためなどから、SDGsにも欠かせない植物とされています。
古くから繊維としての役割があり、今尚世界中様々な国でロープとしてときには建材として使われており、現在はヘンプをまぜたコンクリートという意味のヘンプクリートと呼ばれる建材で作られた住宅は、夏は涼しく冬は暖かい上に丈夫なため、これからヘンプクリート建材での住宅を作るビジネスが世界中で勃興しております。
勿論ロープとしても強力で、アメリカ軍は大戦中、パラシュートに麻紐を使っていました。
そもそも、人類が栽培してきた植物のなかで、最も古いものとも言われることもあります。
そのほかにも食品、紙等、人類にとって資源ばかりのHEMPが革命を起こした最初の植物であることは、福井県鳥浜遺跡にて12,000年前のものとされる大麻が発掘されることからもあながち間違ってないとも思われます。
大麻は南極と北極圏以外ならどこでも育つ、とも言われており、様々な理由からその強さがわかると思います。
HEMP と CANNABIS の目的による育て方の違い
HEMP と CANNABISは目的が全く異なってきますから、育て方も当然異なってきます。
医療大麻や嗜好用大麻のために育てられるCANNABISの場合には、雌株を沢山育てる必要があります。
そのため、適切な温度や光などについての環境を均一化するために多くの場合、現在は屋内で栽培されることが殆どです。
対してHEMPの用途は幅広く、屋外での栽培になることが多くサイズも大きい方が好まれることが多くなります。
もちろんHEMPやCANNABISはその育てる目的により栽培方法に大小変更があることも確かです。
例えばHEMPは衣料用、建材用であればなるべく高く育てたくなりますが、CBD用途であればそれに限りません。
また先日聞いた農家ならではの悩みには驚きました。
大麻は各国様々なルールがあります。
そのため違法でありながらも簡単に栽培出来る地域などでは、HEMP栽培が合法であっても、違法なCANNABIS栽培が屋外で行われていたりする場合に、種が飛んできてしまいHEMPとCANNABISが交配してしまうことがあったりと、強く逞しくどんどんと命を広げるため、細心の注意を払う必要があります。
仮に交配してしまうと、THCの濃度が高くなってしまうような可能性が出てきてしまい、いくつかの国や地域では、HEMPの品種であってもTHCの濃度が高くなると栽培を規制されてしまいます。
HEMP と CANNABIS どちらがCBDに向いている?
HEMP と CANNABIS はどちらも CBD を摂ることが出来ますが、ではどちらのCBDがより人体へ好影響を与えるか等の違いはあるのか。
どのような違いがあるのか。
CBD を軸にして、HEMP と CANNABISにどう言った違いがあるのかをみていきたいと思います。
日本に入ってくるのはHEMPからできたCBD
HEMP と CANNABISの双方からCBD は取得出来ますし、実はこの切り分けはまだ日本では定義がなされていませんが、日本に入ってくるCBD はHEMPから抽出されたものである必要があります。
EU圏では0.2%以下のTHC 含有量約30品種をHEMPと定義づけ、アメリカの場合には2018年12月にTHCが0.3%未満の品種と位置付けています。
ところが、2020年8月にDEAはHEMP品種であってもTHC濃度が0.3%を超える場合には、規制物質の麻薬として取り締まる可能性がある、という声明を発表。
全米の農家をがっかりさせました。
実はTHCの濃度を抑えるのは簡単ではないからです。
アメリカでCANNABISの逮捕拘留については、1920年頃から続く差別の基づくものである、といった言質は多く聞かれます。
マイノリティの栽培者は不当に逮捕されることを非常に恐れています。
現在のトレンド
得られるカンナビノイドの量や種類が多いほど、薬効が高いとされています。
HEMP と CANNABIS いずれが CBDを多く摂れるのか、またカンナビノイドはどちらに種類と量が多く摂れるのか。
HEMP 及び CANNABNISの花穂から発生するトリコーム(トライコーム)には、様々なカンナビノイドが最も多く含まれています。
写真の白い結晶のような部分がトリコーム(トライコーム)です。
CBDがムーブメントになった初期の頃には、CBD優勢品種のCANNABNISはおそらく相当珍しかったと思います。
しかし、当時アメリカでHEMPといえば産業用大麻のことを指し、それは衣類やロープ繊維に使われていたので、基本的に高い機械を使ったり、丁寧に室内で育てるというよりも肥沃な大地で広くたくさん育てるのがトレンドでした。
EUではその頃からすでにCBD 優勢品種のHEMPが食用やサプリメントのために作られていた背景があるようです。
ところが、2013年に勃興したアメリカのCBD ムーブメントでは当初、中国から渡った農薬のルールが緩い当地で育った産業用大麻から摂られた製品が増えて、それだけでなく重金属が入ってしまっていたことも少なくなく、現在でも尚私たちが中国産のCBDを輸入しない理由になっています。
そこから産業用大麻を使うのではなく、THC濃度が低い、CBD用のHEMPを栽培する農家が爆発的に増えました。
CBDそのものについて研究者が「CBDはCBD。変わりはない。」と回答していたりもします。
現状例えばアメリカに言及すると、連邦法ではCANNABISが違法の為、THC濃度が0.3%を切るCBD オイルであってもCANNABISから摂れたものは違法だとされています。
先述したように保守派は今もCANNABISの恐れを強くもっていて、実は合法化地域や合法国、非犯罪化などの地域や国であっても一気に理解が広まることはなく、HEMP CBD の方が海外でも展開しやすいところからも人気が高いです。
HEMP と CANNABIS から摂れるCBD 今後の行方
HEMP と CANNABIS の違いについてCBD を軸に掘り起こしてきました。
そもそも同じ植物だったのにも関わらず、切り分けていかなければならない事情が様々みえてきました。
CANNABIS についての呼び名は、CBD のすべてなどでは大麻(HEMP は麻、ヘンプ)と翻訳され、アメリカにおいて多くのメディアはMARIJUANA と HEMPとして発信がされています。
その文化に触れていないと100種類ほどあると言われる大麻の呼び名は当地において何が普遍的なものなのかわかりません。
そこで、EU発信にてHEMP と CANNABIS の呼び名を作ることによって、THC濃度が低いものと高いものを切り分け始めました。
CANNABIS SATIVA L.は学術名ですから、数奇な運命を辿っている大麻をそのように統一していった影響はアメリカでも踏襲されたのです。
今後はどのような展開を見せていくのでしょうか。
世界の行方は?
現在大麻による研究は医薬品会社が学者に次々と依頼するほど、注目を集めています。
そのためCBDに限ったことでも、研究論文は毎日2通以上のペースで上がり、学術ベースでの研究はどんどん増えています。
こちらが2019年、Cannabinoid関連の論文数
こちらが2020年、Cannabinoid関連の論文数
いずれもpubmedを参照
WHO(World Health Organization / 世界保健機関)は、今年世界中の人が最も目にした国際機関かと思います。
今や信頼が揺らいでいる感のあるWHOも、2000年とも3000年とも言われる歴史のあった感染病である天然痘を撲滅したキャリアがあります。
WHOはこのHEMP(THC0.2%未満)については全く害がないとしていて、同じく国連管轄の組織であるCND(Commission on Narcotic Drugs / 麻薬委員会)に対して、スケジュールの見直しを勧告。
CNDの参加国は53、任期は4年で、
- アフリカ11議席
- アジア11議席
- ラテンアメリカ・カリブ海10議席
- 西ヨーロッパその他14議席
- ラテンアメリカ・カリブ海とアジア間で4年毎に交替する1議席
から成り立っています。
麻薬に関する単一条約とは何なのか。
人類の健康と福祉への懸念から麻薬中毒が害悪という判断のもと、国際連合が麻薬規制を国際協力するもので、主にヘロインなどの麻薬と、コカイン・大麻(CannabisおよびHEMP)を規制しています。
この条約は、流通生産所持については罰則を用いるべきとの考えがあります。
この考えが決定的に変化を見せたのが2011年。
薬物政策国際委員会(22人の世界的指導者および知識人から成る)から、戦争や暴力、人権無視につながり、失敗に終わっていると指摘されています。
私はこういった指摘が国際機関の重要な役割だと思います。
麻薬委員会は同様に、この麻薬に関する単一条約のもとになる、
- 麻薬に関する単一条約のスケジュール・リスト
- 向精神薬条約のスケジュール・リスト
を制定するのですが、その中の決まりに
CND はWHO により勧告された附表(スケジュール・リスト)の受諾 、もしくは、統制の拡大の完全な断念のいずれかを行わなければならない。 とあります。
そして、2020年3月の委員会には、双方のスケジュール・リストに書かれている大麻について、大きな見直しがWHO から勧告されたのです。
今回の勧告で最も私たちの事業に関係するのが、CBDについての見直し勧告になります。
THC 0.2%未満は統制の対象外
WHO から、大麻(CannabisおよびHEMP)に関する様々な勧告が行われる今回のCND。
根拠としては、スケジュール表に入る麻薬(モルヒネやコカイン)は死亡の重大なリスクと関連しているが、大麻使用はそのようなリスクとは関連していないこと。
治療薬としての益が多数見られること等から。
これらは全て重要事項なのですが、特に私たちに今すぐに関係してくることとして、一つこの勧告を挙げたいと思います。
WHO 薬物依存専門家委員会は 主としてカンナビジオールを含有し、Δ9THCが0.2%を超えない製剤は、国際統制の対象としない とする脚注を追加するよう勧告。
今は大麻の花穂から取れるものは全て、日本の法律では取り締まりの対象になりますが、時代の転換期が今まさに訪れようとしています。
CNDの参加国でもある日本は、科学的根拠に基づくこの勧告を無視することは出来ないはずです。
花穂由来の上等なフルスペクトラム CBD が入ってくるようになるのではないか。そういった期待が高まります。
日本の行方は?
今こちらをご覧になっている方はすでに、CBD の重要性に気がついた方だと思います。
少しずつ専門的な話になっているため、本来HEMP と CANNABIS の違いについてCBD を軸に見ていく。という目的がなんだったかが混乱してしまうかもしれません。
ですが、実はとてもシンプル。
HEMPはこのままTHC0.3%以下のものについて、世界的に合法的な扱いになり、THC濃度が最大で30%を超えるCANNABISについては、取り扱いについて非常に時間をかけて考察することになると思われます。
しかし、2020年8月末にアメリカではMORE Act(Marijuana Opportunity Reinvestment and Expungement Act of 2019)は、規制物質であるCANNABISをカテゴリーIから削除しようといった動きで、その利用を非犯罪化することも含めて法案が2020年9月に米国下院で投票が行われます。
これはこれまでの有罪判決逮捕の履歴も抹消するといったことについても言及されています。
今のところ日本が遅きに失している部分を補うのは難しいと考えられがちですが、私はそんなことはないと思っています。
例えばCBD ワックス にテルペンを加える発想は海外ではあまり多くないようで、日本はCBD ワックスの先進国。
海外メーカーが作られたワックスを見て驚くことは少なくありません。多くの場合、逆輸入を提案されたり、現地で欧米向けに作り始めたりしています。
日本の大麻取締法が化石化していることは否めませんが、世界中の国や地域が犯罪化にしたCANNABISやHEMPを規制した原点であるアメリカは2018年12月にHEMPを規制物質から除外し、次にCANNABISについても同様の動きを見せています。
親米国である日本の向かう先、そして国際社会の進む道に足並みを揃えるのは、ベネフィットが大きくリスクコントロールが科学的に証明されれば当たり前のこと。
必ず大きな動きが出てきます。
CANNABISの医療大麻はどうなる?
現在日本では秘密裏に研究がされています。
取締について研究しているとは私は考えにくいと思っていて、それは今からパソコンのキーボードの位置を刷新した方がいいのではないか、と考えるくらい無駄なことだからです。
後進国がCANNABISで一発当てようとして研究を進めているわけではなく、欧米やイスラエルなどでポジティブな結果もネガティブな結果も臨床試験が繰り返され裏打ちがされていて、昨年12月にも沖縄赤十字病院でepidolexの臨床試験を今年の3月から始める、といった話もありました。(2020年9月現在始められているソースは見当たらない)
epidiolexはフルスペクトラム CBD オイルですから、これが解禁になるとなかなかの高額な医療商品のため我々CBD 販売業者がどうなるかは不透明です。
大規模な臨床試験が始まれば、いい結果が揃うのは自明です。
それに伴って専門家(医師、科学者)がさらに情報を掘り起こすことになるでしょう。
やがてepidiolexだけではなく、医療大麻はこの国でも広まることはやはり間違いないと思っています。
現在CBDのムーブメントがきていますが、日本人の多くが持つ様々な痛み。それらは何かで癒される、あるいは自ら癒していく時代です。
数多くのCBD プロダクトがここVMCから日本中に広まっていきます。