いくつかのレアカンナビノイドが化学的見地を待たず、世界中から輸入されてリリースされている事態になっています。
ここ日本でも同様に、CBGを皮切りにたくさんのレアカンナビノイドが市場に出回りました。
それぞれのカンナビノイドがバランス良く入っていると、期待感が高まることも様々な商品で実証されました。
ヘンプ特有のシナジー効果である、アントラージュ効果です。
カンナビノイドと他のカンナビノイド、或いはカンナビノイドとテルペンが加わることによる驚くべきフィードバックの数々。
なるべくカンナビノイドとテルペンが残る形での抽出をすることが、数々の文献で推奨されています。
アントラージュ効果を最も発揮するフルスペクトラムCBDの良さは、世界中の悩める人々のケアをし続けています。
ここ日本でもアイソレートCBDとフルスペクトラムCBDでのリピート率には大きな開きがあり、私達も大きな学びを享受。
CBDの、そしてヘンプの奥深さを思い知らされます。
2021年になってからは、新たにレアカンナビノイドCBNの商品に人気が殺到。
2017年から始まったCBDの旅は、2022年また新たなカンナビノイドの探求から始めます。
CBT、カンナビトリオール、とはどんなカンナビノイドなのでしょうか?
目次
CBTとは?
CBTはCannabitriol(カンナビトリオール)のことで、9つ既知のタイプのCBTがあります。
そのうちのひとつ、Cannabicitran(カンナビシトラン)も一部ではCBT(やCBT-C)と表現されることもあります。
レアカンナビノイドであるCBTの限られたメディア情報や論文の中には、CBT-Cを使っての結果とされることとも混同されています。
いずれも麻から摂れるのは少量で、カンナビトリオールはCBC(カンナビクロメン)から分岐されて作られます。
カンナビシトランはCBDaから分岐されると考えられています。
通常であればひとつのカンナビノイドについて説明するべきです。
しかし、研究が進んでいないカンナビノイドのためにカンナビトリオールとカンナビシトラン双方の説明をする必要があります。
ここではカンナビトリオールをCBT、カンナビシトランをCBT-Cとの表現です。
最近は色々なカンナビノイドがある中、気になる作用は?
CBTに陶酔作用はあるの?
CBTを調べていくと、THCに似た化学式である。
といった紹介がいくつもみられます。
CBTは陶酔作用があるのでしょうか?
2007年に書かれたカリフォルニアの研究所からの報告ではむしろ、THCの陶酔作用を防ぐ可能性があるとされます。
カンナビトリオールは、この反応(ハイになる)の主要な活性酵素(reactive oxygen)の分解生成物として特定。
カンナビス乱用の治療に、複雑な化学変換を触媒する抗体の能力を示す。と書かれています。
CBTやCBT-Cには他にどんな効能や副作用がある?
CBTやCBT-Cにはどんな効能があるのでしょうか?
CBN同様、緑内障を防ぐ可能性があります。
1984年に行われた、ラットのテストにおいては眼圧を下げるカンナビノイドの中にCBTも含まれています。
かなり古いテストのため、臨床研究が求められます。
また、副作用については触れられているものが見当たりませんでした。
実際どういうユーザーが使って、どんな効能が語られているのでしょうか?
CBTは販売されている?どんな評価?
かなりのサイトをサーフィンしましたが、小売のショップはついに見つけることが出来ませんでした。
また、卸売のサイトはあったのですがレビューは全く見当たらず。
一つだけ、アメリカのレビューサイトからCannabisと一緒に接種した際のアントラージュ効果についてのレビューのみを発見。
There’s at least 8 different types of CBT,
以下略
It’s nice.
It doesnt do a whole lot on its own, but included in your noid(cannabinoid) blend it adds a hazy, psychedelic quality to the high.翻訳
(私の理解では)少なくとも8種類のCBTがあります、(使ってみた感じ)いい感じです。
それ自体ではあまり体感はありませんが、noid(カンナビノイド)ブレンドに含まれているため、ハイにかすんでいる(目の)サイケデリックスの品質が追加されます。
引用元:CBT (cannabitriol) reports?
エフェクトのブースト的な意味合いが強いようです。
日本であれば、CBN製品と一緒に摂取することでアントラージュ効果を得やすいかもしれません。
情報が少ない中、驚くべき発見がされていることを知りました。
麻以外の植物からも抽出?CBT-Cの概要
麻に含まれる天然の植物性カンナビノイドのため、レアカンナビノイドながら注目しました。
実は、気管支炎に使用されるTCM(Traditional Chinese Medicine,漢方薬のこと)ハーブにも含まれています。
中国では*一部麻を育てたり使える地域はありますが、基本的には禁止されています。
- *中国巴馬地方のヤオ族...麻の栽培や食用が盛んな当地のヤオ族は、100歳になっても働く人ばかり。世界で最も長生きの民族とも呼ばれています。
驚くことにCBT-C(カンナビシトラン)はシャクナゲの一種Rhododendron anthopogonoidesから抽出されます。
正確にはカンナビシトラン(CBT-C)タイプ、カンナビシクロール(またはカンナビシクロ CBL)タイプ・カンナビクロメン(CBC)タイプの合成類自体の出現が確認されています。
Rhododendron anthopogonoidesはレッコウトケン(烈香杜鵑)と呼ばれ、主にチベット地方で採れるシャクナゲの一種。
咳止めや・去痰作用のために使われていた民間薬としてなんとタバコのように吸引されている文化もあるようです。
主に粉末にしてお茶のように飲むことが推奨され、今も健康長寿や風邪薬の代わりに利用。
最近では、日本でも肌に塗るタイプの化粧品として使われています。
化学的にも塗り薬の効果は証明済み。こちらの論文、同志社大学の森田邦彦先生と松元加奈先生の名前が連なっています。
オイル抽出した際に摂れるテルペンには、リモネンとミルセンも入っているというから驚きです。
さらには香りが良いものこそ薬効が高いとされている点をみても、様々な観点で今のCBD製品にそっくり。
ここから、CBT-CやCBLにCBCから肌に塗るためのバームや飲用タイプなどが販売されて人気が出る日が近いかも?
最後に、これまでの歴史を振り返ってみたいと思います。
CBTとは?歴史の第一歩は日本の麻から
CBTの化学式が同定されたのは1976年に入ってからですが、実はCBTを人類で初めて発見したのは日本人。
北海道大学の小幡弥太郎先生と石川芳典先生が1965年に発見。カンナビトリオールの名をつけました。
しかも国産麻:
実は以降も日本人の先生は偉大な発見を数多くしていますが、それはまた別の機会に。
これ以降、日本での麻含めカンナビノイドの研究が衰退。
その原因は、アメリカの法律や文化が大きく絡んでいます。
既に●語?有毒麻とは?
日本ですら今は殆どそのような表現をすることがありませんが、日本の行政が有毒麻や無毒麻という名前をつけて呼んでいます。
1937年にマリファナ課税法を制定したアメリカは、1942年には、『米国薬局方』からCannabisが消去。
日本は1886年には「鎮痛、鎮静もしくは催眠剤」として日本薬局方*に大麻草が記載されていました。
しかし第二次世界大戦後にGHQによって、大麻取締法を策定。
1951年の第5改正日本薬局方まで収載されていたものの、同年第6改正日本薬局方から消去されてしまいました。
1950年頃、栃木県の記録ではこのように記されていたとしています。
「わが国の麻(大麻)は元来無毒であった。栃木においては、1950年ころ海外の有毒麻と自然交雑し、南押原一号という品種の麻が有毒化した。
1974年ころには、ヒッピーブームの影響でマリファナ吸引を目的とした大規模な盗難が相次ぐようになり、生産者は大変に困った。
そこで生産者達は、無毒の品種を作るべくプロジェクトを始動。
約8年かけて1982年に無毒麻品種『とちぎしろ』を完成。
以来、厳格な管理の下、無毒を維持。
その甲斐あって盗難はなくなった。」
引用元:医療ガバナンス学会
2017年に記録されたこちらの記事。元記事は栃木県の行政だったようですが消去されてしまっています。
また、この記述は偏りがあり一部私見です。(リンクの記述には間違いを指摘している中に、間違いがあります。)
その後、2019年に厚労省がとちぎしろを検査した論文を発表した中にはCBDが抽出されたことが判明。(THCは微量)
このことからも有毒麻、というのはTHCが多く含まれた麻という認識で間違いないと思われます。
THCが世界で初めて分離されたのは1964年ですから、*トリコームレベルで判断したのではなく吸引しての判断だったのかもしれません。
その当時、もし吸引して確認していたとしたらその感覚をどう表現していたのか。
"トぶ"とか"ブリブリ"といった表し方ではない、小粋な言い方があったのでしょうか。
CBTの発見一つで沢山のロマンを感じました。
小幡先生はなんと明治生まれ。(1988年ご逝去)
大変貴重な発見を日本の先生がされていたことは、CBTの記事を書くにあたって最も感動したことです。
確認する限り生涯8冊の本を出されていて、その中にある「日本人のたべもの(1961年)」は多くの食品研究で今も引用されている文献。
中にはテルペンについてなどの研究もあります。
小幡先生が麻に辿り着いたのは奇跡だったのか、あるいは必然だったのか。
- *日本薬局方...医薬品の性状及び品質の適正を図るため、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定める公定文書(出典)
- *トリコーム(tricome)...毛状突起のことで、ギリシャ語で髪の毛を意味します。花や葉の表皮細胞が伸びるように付いていて、HEMPの場合にはそこに一番カンナビノイドやテルペンが含まれます。
まとめ
殆ど研究が進んでいない割には、発見が1965年まで遡るCBT。
半世紀以上前に見つかり研究が進んでいないカンナビノイドが、今になって注目されるという確信があります。
今回は情報が非常に少ない中でスペイン、中国、アメリカなどのメディアを見回り注目したのは日本での発展。
北海道大学の小幡先生が見つけたCBTが、シャクナゲから摂れるCBT-C類自体について同志社大学で論文が出ています。
そこから日本での研究が新たな発見をするのでは?と期待しています。
また、既にCBTはいくつかの業者が日本への輸入に成功。
これから研究が発展していくことに期待です。
- THCの陶酔作用を抑えるのではないか?
- 緑内障の要因と考えられる眼圧を下げると考えられること
- (レビューでは)アントラージュを高めた、といった体験談
以上のみが報告されているCBT:カンナビトリオールとCBT-C:カンナビシトラン。恐らく非常に多くのメリットがあるカンナビノイドと考えています。
2022年、これからの情報更新に期待です。